セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル O-141:

約3年半の画像経過を遡ることができた肝内胆管癌の一切除例

演者 木下 雄貴(豊橋市民病院 消化器内科)
共同演者 内藤 岳人(豊橋市民病院 消化器内科), 浦野 文博(豊橋市民病院 消化器内科), 藤田 基和(豊橋市民病院 消化器内科), 山田 雅弘(豊橋市民病院 消化器内科), 山本 英子(豊橋市民病院 消化器内科), 松原 浩(豊橋市民病院 消化器内科), 竹山 友章(豊橋市民病院 消化器内科), 田中 浩敬(豊橋市民病院 消化器内科), 田中 卓(豊橋市民病院 消化器内科), 廣瀬 崇(豊橋市民病院 消化器内科), 芳川 昌功(豊橋市民病院 消化器内科), 鈴木 博貴(豊橋市民病院 消化器内科), 岡村 正造(豊橋市民病院 消化器内科)
抄録 【はじめに】約3年半の画像経過を遡ることができた肝内胆管癌の一切除例を経験したので報告する。【症例】70歳代男性。【既往歴】顔面有棘細胞癌(→2009年5月顔面有棘細胞癌切除術)。【現病歴】当院皮膚科定期通院中の2012年11月CTでS5に約4.0×3.5cm大の低吸収域を認めた。腹部超音波検査では比較的境界明瞭で内部不均一な低エコー像な腫瘤像で、sonazoid造影の動脈優位相で腫瘍辺縁と内部が樹枝状に濃染され、Kupffer相で腫瘍は周囲肝実質に比較してやや低エコーとして描出された。MRI検査で腫瘍はT1強調像で低信号、T2強調像で高信号、Gd-EOB造影で腫瘍は動脈早期相から門脈相にかけて辺縁がリング状に造影され、肝細胞相で欠損像を示していた。内視鏡検査で上部・下部消化管に悪性疾患を示唆する異常は認めず、腫瘍マーカー(CEA/CA19-9/AFP/PIVKA-2/SCC)は正常範囲内であった。腫瘍は2009年5月のCTで約2.0×1.5cm大の低吸収域として検出されていたが肝血管腫として診断されており、dynamic造影CT・MRIや腹部超音波検査は実施されていなかった。2011年11月のCTでは約3.5×3.0cm大で増大傾向を示していた。Tumor Doubling Timeは428日だった。皮膚有棘細胞癌の肝転移もしくは肝内胆管癌の診断で2013年2月に腹腔鏡下肝部分切除術を施行した。腫瘍径は約8×4×3cm大で、病理組織所見は間質の線維増生を伴って異型円柱上皮が不整小型腺管形成や乳頭状配列を示して増殖しており、肝内胆管癌と診断された。【考察】肝内胆管癌は、肝臓に発生する悪性腫瘍の中で2番目に多く、その発症率や死亡率は近年増加している。放射線療法や化学療法の治療効果は低く、肝切除が唯一の根治的治療法といえる。今回の症例では3年半前のCTまで遡ることが可能であったが、当初は腹部超音波検査やdynamic造影CT・MRIなどは実施されずに肝血管腫としてfollowされていた。肝内胆管癌が血管腫として経過観察されていた症例報告は散見されており、増大傾向のある腫瘍を認めた場合、各種モダリティで腫瘍の性状診断をより詳細に行うことが重要であることが示唆された。
索引用語 肝内胆管癌, 胆管細胞癌