セッション情報 一般演題

タイトル O-035:

消化管外の腫瘤として発見されたGISTの一例

演者 出田 貴康(岐阜赤十字病院 消化器内科)
共同演者 松下 知路(岐阜赤十字病院 消化器内科), 高橋 裕司(岐阜赤十字病院 消化器内科), 杉江 岳彦(岐阜赤十字病院 消化器内科), 伊藤 陽一郎(岐阜赤十字病院 消化器内科), 名倉 一夫(岐阜赤十字病院 消化器内科), 栃井 航也(岐阜赤十字病院 外科), 後藤 裕夫(岐阜赤十字病院 放射線科)
抄録 【目的】一般的に、GIST は消化管固有筋層にあるカハール介在細胞への分化を示す,あるいは由来する腫瘍とされている。画像検査で胃壁外の腫瘤として発見されたGISTの一例を経験したので報告する。【症例】67歳男性。2012年11月に尿潜血陽性のため、泌尿器科にて腹部CT施行され胃と肝左葉の間に10cm大の腫瘤を指摘され、同月当科紹介となった。【経過】腹部造影CTでは腫瘤は中心壊死を伴っており、胃壁の小彎側、肝左葉と接していた。腹部血管造影を行い、拡張した左胃動脈が栄養血管であった。胃、肝臓、小網が原発の腫瘍と疑われたたが、EUS施行したが原発の特定は困難であった。リンパ節転移、遠隔転移を認めないため、2013年1月に当院外科にて腫瘍切除術+胃部分切除術施行され、周囲への浸潤傾向は認めなかった。病理組織検査ではc-kit、CD34陽性、S-100、Desmin、SMA陰性でありGISTと診断された。胃壁とは非常に疎な組織でつながっていたため、一部胃壁も切除されたが、小網と胃のどちらの原発の可能性も否定できない所見であった。MIB-1index0-5%cm 、10cm大で内部壊死を伴っているため、高悪性度と診断された。現在は患者希望により外来で厳重フォローされている。【考察】消化管蠕動運動のペースメーカー細胞であるカハール介在細胞 は消化管の固有筋層に存在することから,通常GIST は消化管,とくに固有筋層と連続性を有する腫瘍と考えられる。近年,消化管外に原発するGIST が数多く報告され,extragastrointestinal stromal tumor(EGIST)と呼ばれている。EGIST は細胞起源が同定されていないことからEGIST がGIST とは別の独立した腫瘍概念であるか否かは議論のあるところであるが、GIST 同様の分子生物学的特徴を有するとされる。画像上、消化管外に認める腫瘤の場合でもGISTの可能性は念頭に置くべきであると考えられた。
索引用語 GIST, 小網