セッション情報 | 一般演題(研修医(卒後2年迄)) |
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タイトル | O-154:グリコーゲン沈着が原因と考えられる肝障害を繰り返した1型糖尿病の1例 |
演者 | 小崎 陽平(名古屋大学 医学部 消化器内科) |
共同演者 | 新家 卓郎(名古屋大学 医学部 消化器内科), 今井 則博(名古屋大学 医学部 消化器内科), 阿知波 宏一(名古屋大学 医学部 消化器内科), 荒川 恭宏(名古屋大学 医学部 消化器内科), 山田 恵一(名古屋大学 医学部 消化器内科), 中野 聡(名古屋大学 医学部 消化器内科), 石津 洋二(名古屋大学 医学部 消化器内科), 葛谷 貞二(名古屋大学 医学部 消化器内科), 本多 隆(名古屋大学 医学部 消化器内科), 林 和彦(名古屋大学 医学部 消化器内科), 石上 雅敏(名古屋大学 医学部 消化器内科), 後藤 秀実(名古屋大学 医学部 消化器内科) |
抄録 | 症例は41歳女性。2歳時に1型糖尿病を発症、血糖コントロール不良にて頻回の入院歴あり。糖尿病性動眼神経麻痺に対してステロイドパルス療法後、血糖高値が持続し、パルス療法後15日目にAST843IU/L、ALT830の肝障害が出現したため当科紹介。各種ウイルスマーカー、抗核抗体、抗ミトコンドリア抗体を測定したが急性肝障害の原因は認めず。腹部CTでは肝腫大(1758cm3)および肝実質全体の高吸収(76HU)を認めたため、血清フェリチン値を測定したが15ng/mlと低値だった。また腹部エコーでは肝腎コントラストを認めたが他に器質的疾患は認めなかった。肝障害の原因を特定することはできなかったが、ステロイド減量に伴い血糖値も低下し、同時に肝障害が軽快したため外来様子観察となった。しかし退院後低血糖発作にて救急外来受診時にAST1079IU/L、ALT900IU/Lと再び肝障害、および肝腫大(1907cm3)、実質高吸収(82HU)が出現したが、初回の肝障害同様に自然に軽快。原因不明の一過性肝障害を繰り返すため肝生検を行ったところ、肝細胞の胞体の淡明化、PAS染色では肝細胞質内及び核内にPAS陽性顆粒を認め、dPASでは顆粒が見られなかったことから肝グリコーゲン沈着が証明された。ベルリン青染色も行ったが鉄沈着は認めなかった。コントロール不良の1型糖尿病において高血糖、高インスリン状態により肝臓にグリコーゲンが異常蓄積し、肝腫大、肝障害を生じることがあり、本症例もグリコーゲン沈着による肝障害と考えられた。グリコーゲン沈着による肝障害は稀であり、文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | グリコーゲン沈着, 肝障害 |