セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | O-126:後腹膜腔まで及ぶ広範な膿瘍を形成した食道癌穿通の手術治療例 |
演者 | 神谷 欣志(浜松医科大学 外科学第二講座) |
共同演者 | 阪田 麻裕(浜松医科大学 外科学第二講座), 菊池 寛利(浜松医科大学 外科学第二講座), 藤田 剛(浜松医科大学 外科学第二講座), 尾崎 裕介(浜松医科大学 外科学第二講座), 平松 良浩(浜松医科大学 外科学第二講座), 太田 学(浜松医科大学 腫瘍センター), 宮崎 真一郎(浜松医科大学 外科学第二講座), 飯野 一郎太(浜松医科大学 外科学第二講座), 坂口 孝宜(浜松医科大学 外科学第二講座), 今野 弘之(浜松医科大学 外科学第二講座) |
抄録 | 【症例】74歳、男性。【既往歴】糖尿病、高血圧、心房細動【現病歴】2011年12月から胸部痛、つかえ感を自覚していた。2012年1月中旬に左側腹部痛が出現し、経口摂取はほぼ不能の状態となった。同月14日に前々医にて行った上部消化管内視鏡検査で上切歯列より20cmの部位(下線:前々医から前医への紹介状内容をそのまま記載)に食道癌を指摘され、同月19日、前医を紹介受診となった。外来での精査を予定したが、同月21日、39度台の発熱、腹痛の増強を認め前医に救急搬送された。高度の炎症所見と、CT上、縦隔、後腹膜膿瘍の所見を認め、食道癌穿孔の疑いにて、緊急手術を目的に同日当院へ紹介となった。【治療経過】当院救急外来搬送時には、意識清明、体温37.4℃、血圧138/95mmHg、HR 108/minと全身状態は比較的落ち着いていた。X線透視下に下部食道の穿孔部位を確認し、同日、左開胸開腹にて、下部食道切除、縦隔・後腹膜腔の洗浄、ドレナージ術、胃瘻造設術を施行した。切離した食道と胃は二期的に再建する方針とした。呼吸不全のため、術後第5病日に気管切開を行なったが、他の経過は良好で、術後第10病日にICUから一般病棟に転棟した。経腸栄養による栄養管理とリハビリテーションにより全身状態の回復を待ち、3月5日、右開胸開腹食道亜全摘、胸腔内食道胃管吻合術を施行した。再建術後第25病日に退院となり、外来での化学療法導入を目指したが、初回手術後3ヶ月で食道周囲、縦隔、胸腔内、後腹膜に多発する再発巣を認め、初回手術後5ヶ月で腫瘍死された。【考察とまとめ】約10日間の左側腹部痛が持続し、救急搬送時にすでに広範な縦隔・後腹膜膿瘍が形成されていたという経過からは、本症例の縦隔、後腹膜膿瘍は食道癌に起因する縦隔穿通から進展したものと考えられた。食道切除、洗浄ドレナージ術と二期的再建術により、比較的全身状態を良好に保ちつつ治療を完遂することが出来たものの、補助療法を行うまもなく腫瘍死の転帰となった。後腹膜膿瘍を形成した食道癌穿孔、穿通の報告は極めてまれであり、若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | 食道癌, 後腹膜膿瘍 |