セッション情報 シンポジウム1「消化管疾患の診断と治療の最前線」

タイトル S1-004:

当院における残胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の治療成績の検討

演者 石原 誠(愛知県がんセンター中央病院 内視鏡部)
共同演者 田近 正洋(愛知県がんセンター中央病院 内視鏡部), 丹羽 康正(愛知県がんセンター中央病院 内視鏡部)
抄録 【目的】胃癌に対するESDは胃癌治療ガイドラインにおいて標準治療として確立している。近年技術的難易度が高い残胃癌に対してもその適応は拡大しているが、残胃癌に対するESDの報告は少ないため、今回残胃癌に対するESDの有用性を検討する。【方法】 愛知県がんセンター中央病院で、2003年1月~2013年2月に幽門側胃切除後残胃癌に対してESDを施行した21例(男/女=16/5、平均年齢67.1±11.2)24病変を対象とし、同時期にESDを施行した784例中U領域の93症例(男/女=78/15、平均年齢70.1±7.1)93病変と対比した。【成績】残胃群24病変(絶対的適応16病変、適応拡大7病変、適応外1病変)とU領域群93病変(絶対的適応72病変、適応拡大18病変、適応外3病変)と背景に有意差は認めなかった。肉眼型では残胃群(0-IIc 16病変、0-IIa 8病変)、 U領域群(0-IIc65病変、0-IIa 21病変、その他7病変) と有意差は認めなかった。腫瘍長径は残胃癌群13.0mm(4~45mm)、U領域群19.0mm(6~60mm)と有意差は認めなかった。一括切除率は残胃群87.5%(21/24)、U領域群91.4%(85/93)と有意差は認めなかった。残胃癌1病変において線維化が高度でESDを中止した。縫合線上の残胃小彎6病変認めたが全例合併症なく一括切除であった。吻合部病変は認めなかった。合併症は穿孔(残胃群2例(8%)、U領域群6例(6%))後出血(残胃群0例(0%)、U領域群4例(4%))と有意差を認めなかった。切除時間中央値は残胃群105分(13~392分)U領域群96分(22~375分)と有意差は認めなかった。残胃癌群では4例(19%)、U領域群14例(15%)で非治癒切除例のため追加切除を行った。【結論】当院における幽門側胃切除後残胃癌に対するESD治療成績は概ねU領域病変と同等の成績であり、残胃癌においてもESDは有用な治療と考えられた。
索引用語 残胃癌, ESD