セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
O-036:静脈血栓塞栓症を契機に発見された消化器悪性腫瘍の4例
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演者 |
山本 尚人(浜松医科大学 消化器・血管外科学分野) |
共同演者 |
坂口 孝宣(浜松医科大学 消化器・血管外科学分野), 神谷 欣志(浜松医科大学 消化器・血管外科学分野), 太田 学(浜松医科大学 消化器・血管外科学分野), 倉地 清隆(浜松医科大学 消化器・血管外科学分野), 海野 直樹(浜松医科大学 消化器・血管外科学分野), 今野 弘之(浜松医科大学 消化器・血管外科学分野) |
抄録 |
【諸言】悪性腫瘍に合併する血栓症はトルーソー症候群として知られている。最近のCTの発達に伴い、静脈血栓塞栓症(VTE)診断時に撮影した胸部から骨盤部のCTで、消化器系の悪性腫瘍が発見されることも経験される。当科で経験したVTE症例から、VTEを契機に発見された消化器悪性腫瘍症例を検討した。【対象】2005年1月から2013年3月までに当科にて診療したVTEを契機に発見された消化器悪性腫瘍症例は4例であった。同時期に経験した、VTEは342例(有症状VTEは183例、妊婦や術後症例を除くと126例、既知の悪性腫瘍の無い症例は82例)であったが、院外発症で・既知の癌や血栓性素因や麻痺などのない・有症状VTE症例は23例であり、特に誘因のないVTE患者の17.4%に新規消化器悪性腫瘍が存在していた。以下に症例の要約を示す。【症例1】64歳、男性。左下肢腫脹で来院し、左外腸骨静脈から膝窩静脈の血栓症と診断。CTで食道壁の肥厚があり、精査にてstageIIIの食道癌と診断。胸部食道切除を施行したが、受診後536日で食道癌再発により死亡。【症例2】68歳、女性。右頸部腫脹にて来院し、右内頸静脈の血栓症と診断。採血で著明な貧血と、CTで胃壁の肥厚と右鎖骨上リンパ節の腫脹があり、精査にてstageIVの胃癌と診断。化学療法を行ったが、受診後635日で胃癌により死亡。【症例3】79歳、女性。左頸部腫脹にて来院し、左内頸静脈の血栓症と診断。採血CTで胃壁の肥厚があり、精査にてstageIVの胃癌と診断。高齢のため癌治療は行わず、受診後180日で胃癌により死亡。【症例4】65歳、女性。両下肢腫脹にて来院し、左膝窩静脈・右総大腿静脈から膝窩静脈の血栓症と診断。CTで肝左葉に腫瘤を認め、精査にてstageIVbの肝内胆管癌であった。肝左葉切除術と術後補助化学療法を行ったが、受診後435日で肝内胆管癌再発により死亡。【考察】特に誘因のないVTE症例では消化器癌を合併することも多く、画像読影では注意を要する。またVTEを契機に発見された消化器悪性腫瘍は、CTでの診断という性質上進行したものが多く、治療によってもその予後は不良であった。 |
索引用語 |
消化器癌, 静脈血栓塞栓症 |