セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル O-033:

下部消化管内視鏡検査で診断し得たアニサキス症の2例

演者 水野 和幸(半田市立半田病院 消化器内科)
共同演者 森井  正哉(半田市立半田病院 消化器内科), 春田 明範(半田市立半田病院 消化器内科), 山田 啓策(半田市立半田病院 消化器内科), 川口 彩(半田市立半田病院 消化器内科), 岩下 紘一(半田市立半田病院 消化器内科), 神岡 諭郎(半田市立半田病院 消化器内科), 大塚 泰郎(半田市立半田病院 消化器内科), 肥田野 等(半田市立半田病院 消化器内科)
抄録 【はじめに】アニサキス症はその幼虫の寄生部位から胃アニサキス症と小腸・大腸アニサキス症に分けられる. 今回我々は下部消化管内視鏡検査で虫体を確認し小腸・大腸アニサキス症と診断し得た2例を経験したため報告する. 【症例1】66歳男性. 生の鯖を食べた4日後より腹痛、水様便が出現し症状の改善に乏しいため当院受診した. 腹部CTで上行結腸の壁肥厚、周囲の脂肪織濃度の上昇と腹水を認めた. 入院後も腹痛の改善に乏しく第6病日、下部消化管内視鏡検査を行ったところ上行結腸粘膜に刺入するアニサキス虫体とその周囲の浮腫状粘膜を認めた. 虫体を摘出したところ症状は劇的に改善し大腸アニサキス症と診断した. 【症例2】63歳女性. 生の鮭を食べて、その2日後より腹痛と水様便があり近医を受診した. 腹部X線写真で小腸の拡張と鏡面像を認め当院紹介となった. 腹部CTでは小腸の壁肥厚と腹水を認めた. 4日間抗菌治療をおこない自覚症状は改善傾向であったが、好酸球の上昇を認め急性腹症の鑑別のため第6病日、下部消化管内視鏡検査を施行した. 上行結腸にアニサキス虫体を1匹発見し摘出した. その後症状の改善および好酸球の正常化を認め小腸アニサキス症と診断した. 【考察】小腸・大腸アニサキス症は内視鏡的に診断されることは稀であるが、胃アニサキス症と同様に急性腹症の原因として一定の割合を占めていると考えられ、小腸内視鏡検査や下部消化管内視鏡検査を施行することは診断の一助になりえると考える. 下部消化管内視鏡検査で虫体を確認し診断し得たアニサキス症の2例に文献的考察を加えて報告する.
索引用語 腸アニサキス, 急性腹症