セッション情報 一般演題

タイトル O-148:

肝細胞癌に対するソラフェニブ開始後7日目で多発性の肝膿瘍を生じた1例

演者 森本 雄貴(伊賀市立上野総合市民病院 外科)
共同演者 西川 隆太郎(伊賀市立上野総合市民病院 外科), 福浦 竜樹(伊賀市立上野総合市民病院 外科), 浦田 久志(伊賀市立上野総合市民病院 外科), 寺邊 政宏(伊賀市立上野総合市民病院 外科), 三木 誓雄(伊賀市立上野総合市民病院 外科)
抄録 症例は74歳男性。右肺転移を伴うT4, N0, M1, StageIVBの肝細胞癌(HCC)に対して、手術不能例としてソラフェニブの投与目的に入院した。肝機能はChild-Pugh score 7点、肝障害度Bであった。ソラフェニブを400mg/日で投与開始後5日目に発熱が出現し、投与開始後7日目のCT検査で多発性の肝膿瘍を来たした。肝膿瘍は両葉にわたり非常に多数であったため、interventioalな処置が困難と判断した。以後はソラフェニブ休薬と抗菌薬投与による保存的治療を開始し、治療開始後22日目に軽快退院した。ソラフェニブは、腫瘍細胞に対する増殖抑制効果と血管新生阻害作用を有する経口のマルチキナーゼ阻害剤であり、Raf-1、VEGF受容体-1/-2/-3、PDGF受容体-β、c-Kit、Flt-3、RETなどを標的とする分子標的薬である。本邦で使用され始めて4年目の比較的新しい治療薬であるが、副作用の報告も散見される。ソラフェニブ治療中に肝膿瘍を生じた報告例は医学中央雑誌上での検索では初めてである。切除不能肝細胞癌への有効性が報告されつつあり、薬剤の重要性が増すと考えられるため本症例の様な稀な副作用についても若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 ソラフェニブ, 肝膿瘍