セッション情報 一般演題

タイトル O-014:

NSAIDsの長期内服により、右半結腸の広汎な狭窄をきたした一例

演者 田村 智(聖隷浜松病院 消化器内科)
共同演者 細田 佳佐(聖隷浜松病院 消化器内科), 海野 修平(聖隷浜松病院 消化器内科), 瀧浪 将貴(聖隷浜松病院 消化器内科), 小林 陽介(聖隷浜松病院 消化器内科), 木全 政晴(聖隷浜松病院 消化器内科), 芳澤 社(聖隷浜松病院 消化器内科), 舘野 誠(聖隷浜松病院 消化器内科), 室久 剛(聖隷浜松病院 消化器内科), 熊岡 浩子(聖隷浜松病院 消化器内科), 清水 恵理奈(聖隷浜松病院 消化器内科), 長澤 正通(聖隷浜松病院 消化器内科), 佐藤 嘉彦(聖隷浜松病院 消化器内科)
抄録 【症例】44歳女性【現病歴・経過】頸部痛や腰痛のため、近医でロキソプロフェンを処方され、約7年にわたり内服していた。2011年6月より下痢、腹痛がみられ、尿路感染も併発したため、同7月当院総合内科入院。便培養は陰性、大腸内視鏡において盲腸から横行結腸にかけ連続性の血管透見不良な粘膜面を認め、直腸にアフタ様のびらんがみられた。生検では非特異的な炎症のみであり、整腸剤等により経過観察。その後も1日数行の水様下痢が持続し、腹痛が顕著となったため、2012年1月大腸内視鏡再検。横行結腸中央部付近にて狭窄が強く、内視鏡の通過が困難であったため、小腸内視鏡を用いて再挿入を試みた。その結果、盲腸から横行結腸中央部にかけ、広汎かつ連続性の狭窄を認め、粘膜面の血管透見も不良であった。回腸末端および下行結腸より肛門側には異常所見を認めず、狭窄部位の大腸の生検においては非特異的な炎症が認められるのみであった。経過および便培養等より感染性腸炎は否定的であり、画像所見より潰瘍性大腸炎やクローン病も考えにくく、NSAIDs起因性大腸病変(腸炎型)の遷延による広汎な右半結腸狭窄と診断した。NSAIDsの中止により、症状は改善傾向となった。【考察】NSAIDsによる大腸病変は腸炎型、潰瘍型に大別され、深部大腸に好発するとされる。高度に進展した例では膜様狭窄がみられるとされるが、本例のように広範囲の狭窄を生じたとする報告は少ない。治療の基本は原因薬剤の中止であり、有効な予防法は確立されておらず、NSAIDs長期内服例においては、腹部症状の出現と推移に十分留意することが必要と思われた。
索引用語 NSAID, 狭窄