セッション情報 シンポジウム2「肝胆膵疾患の診断と治療の最前線」

タイトル S2-001:

C型肝炎に発症した肝細胞癌患者のインターフェロン療法

演者 濱村 啓介(静岡市立静岡病院)
共同演者 小柳津 竜樹(静岡市立静岡病院)
抄録 【目的】C型肝炎に伴う肝細胞癌(HCC)の癌治療前後に、インターフェロン療法で、ウィルスが駆除されると、再発が抑制され、生存率も改善する可能性が示唆されている。当院でも、HCC根治治療前後に、積極的にインターフェロン療法を行い、一定の結果を得たため、報告したい。【方法】2009年1月~2011年12月、当院で治療を行った、HCC192症例のうち、C型肝炎を背景に発症した初発癌で、根治的治療がされた57例を、後向きに解析した。治療前後のインターフェロン(IFN)治療の有無、治療により著効(SVR)が得られたか否かで患者を分け、臨床的特徴とともに、全生存率、肝癌無再発生存率を比較した。【結果】IFNは、23例(治療前10例、治療後13例)に行われていた(IFN群)。IFNが行われていない症例(非IFN群)34例と比較し、年齢(69.4±7.9 vs. 71.7±10.1歳)、性別(男性15/女性8 vs. 男性24/女性10)、平均腫瘍径(2.32±0.97 vs 2.75±1.73cm)、臨床病期(stage I:9/II:7 / III:7 vs I:9/II:19/III:5/IV:1)、背景肝機能(Child-Pugh class A:20/ B:3 vs A:22/B:12)に有意差は見られなかった。しかし、生存率は、IFN群で、良好な傾向が見られた(1、2、3年生存率、95.7、95.7、82.0% vs. 81.4、77.7、68.0%、Logrank P値:0.11)。一方、初回再発に対して無再発生存率を見ると、両群とも、同程度であった(1、2、3年無再発生存率、69.6、56.2、18.7% vs. 85.2、67.0、57.5%、Logrank P値:0.21)。SVRの有無で、比較すると、SVRが得られた症例で、生存率が高い傾向が見られた(1、2、3年生存率、100.0、100.0、82.0% vs. 85.1、82.5、75.7%、P値:0.56)。【結論】肝癌症例に対しても、IFN療法を行うことによって、SVRの有無に限らず、生存率が改善することが示唆された。
索引用語 肝細胞癌, インターフェロン