セッション情報 | シンポジウム2「肝胆膵疾患の診断と治療の最前線」 |
---|---|
タイトル | S2-006:HBV関連初発肝細胞癌根治療法後に関する検討―核酸アナログ製剤使用状況との関連― |
演者 | 小倉 英(三重大学病院 消化器・肝臓内科) |
共同演者 | 山本 憲彦(三重大学病院 消化器・肝臓内科), 爲田 雅彦(三重大学病院 消化器・肝臓内科), 稲垣 悠二(三重大学病院 消化器・肝臓内科), 浦城 聡子(三重大学病院 消化器・肝臓内科), 野尻 圭一郎(三重大学病院 消化器・肝臓内科), 篠原 浩二(三重大学病院 消化器・肝臓内科), 杉本 龍亮(三重大学病院 消化器・肝臓内科), 宮地 洋英(三重大学病院 消化器・肝臓内科), 諸岡 留美(三重大学病院 消化器・肝臓内科), 田中 秀明(三重大学病院 消化器・肝臓内科), 杉本 和史(三重大学病院 消化器・肝臓内科), 藤田 尚己(三重大学病院 消化器・肝臓内科), 小林 由直(三重大学病院 消化器・肝臓内科), 岩佐 元雄(三重大学病院 消化器・肝臓内科), 白木 克哉(三重大学病院 消化器・肝臓内科), 竹井 謙之(三重大学病院 消化器・肝臓内科), 山門 亨一郎(三重大学病院 IVR科), 伊佐地 秀司(三重大学病院 肝胆膵・移植外科) |
抄録 | 【目的】B型肝炎ウィルス(HBV)陽性慢性肝疾患患者への核酸アナログ(NA)投与によるウィルス増殖抑制は、肝発癌抑止に寄与するとされており、肝切除後の再発抑制にも関連しているとされている。今回、HBV陽性慢性肝疾患患者に生じた初発肝癌うち根治可能であった症例について、NA使用状況を含めて解析した。【方法】対象は当院で2002年4月から2011年3月の間にHBV陽性慢性肝疾患患者に発生した初発肝癌69例のうち、根治治療(肝切除または局所療法)を施行した41例(男性31例、女性10例、年齢中央値59歳)の臨床像について検討を行った。【結果】初発時のHBs抗原は全員陽性であり、HBe抗原は10例で陽性であった。背景肝は慢性肝炎が19例、肝硬変が22例であり、Child-Pugh分類はAが18例、Bが4例であった。TNM分類はI期が10例、II期が20例、III期が11例であった。初回根治療法は、肝切除が19例、局所療法が22例であった。根治療法後、無再発は15例であり、初回再発を26例に認めた。初回再発に対して、19症例で根治療法が施行され、11症例で2回目の再発を認めた。2回目再発の全例で根治療法が施行され、7症例で3回目の再発を認めた。核酸アナログは、35例で使用されており、初発肝発癌前より使用されていたのが16例、初発肝細胞癌根治後から使用されたのが19例であった。核酸アナログ使用症例での初発肝癌根治療法後において、背景肝が肝硬変であることが再発のリスクであった(P<0.001)。再発のリスクが高い肝硬変症例に限定すると、根治治療後の再発に関しては、核酸アナログ開始時期が肝細胞癌治療後であっても、肝細胞癌治療前より開始した症例群と再発リスクに差は認めなかった(初回再発:P=0.722、2回目再発:P=0.364、3回目再発:P=0.255)。【結語】肝細胞癌根治療法における核酸アナログの使用は、肝細胞癌治療後であっても、再発を抑制する可能性が示唆された。 |
索引用語 | 肝細胞癌, 核酸アナログ |