セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 057:血管浸潤を伴う膵体部癌に対し膵体尾部切除、中結腸動静脈合切除、門脈合併切除再建術を施行した一例 |
演者 | 川原 敏靖(松波総合病院 外科) |
共同演者 | 小西 奈々美(松波総合病院 外科), 小林 建司(松波総合病院 外科), 花立 史香(松波総合病院 外科), 柴田 直史(松波総合病院 外科), 大原 永子(松波総合病院 外科), 佐藤 怜央(松波総合病院 外科), 松波 英寿(松波総合病院 外科) |
抄録 | <目的>血管浸潤を伴う膵臓癌は手術適応、術式選択を慎重に判断する必要がある。われわれは血管浸潤を伴う膵体部癌に対して膵体尾部切除、中結腸動静脈合切除、門脈合併切除再建術を施行し、肉眼的治癒切除を行い得たので報告する。<症例>65歳女性。子宮頚癌術後の経過観察中のCT検査で膵腫瘤を指摘された。腹部CT検査で膵体部に径3 x 2.5cmの低吸収域の腫瘍が認められ、膵体尾部の主膵管の拡張を伴っていた。脾動静脈、中結腸動静脈への浸潤が疑われたが、明らかな腹膜播種、肝臓転移を疑う所見は認められなかった。EUS-FNAを施行し、病理組織にて腺癌の診断であった。われわれはこの症例に対して膵体尾部切除、中結腸動静脈合切除、門脈合併切除再建術を施行した。<手術所見>腫瘍は門脈左縁に接し膵体部に存在した。腫瘍と中結腸動静脈の剥離が困難であり、中結腸動静脈をクランプし、結腸の血流が保たれていることを確認後、結紮切離した。脾臓および膵尾部を門脈本幹左縁が見えるまで後腹膜から脱転した。 膵背側で門脈本幹と腫瘍の剥離が困難であり、膵上下縁で門脈、上腸間膜静脈に血管鉗子をかけて門脈を切離した。 6-0 Proleneで前後壁連続吻合しグラフトは使用せずに端々吻合で門脈再建を行った。門脈クランプ時間は38分であった。腫瘍の右縁から数mmの辺縁を確保し、胃十二指腸動脈よりわずかに左側で膵実質を切離し、検体を摘出した。迅速病理検査で断端陰性を確認した。膵切離断端の膵管径は2mmで4-0 ProleneでZ縫合にて閉鎖し、さらに4-0 Proleneで結節縫合を施行し膵断端を閉鎖した。手術時間9時間13分。出血450mlであった。術後経過良好で術後15日目で外科から内科へ血糖管理のために転科となった。<考察>血管浸潤を伴う膵臓癌はその手術適応、術式を術前画像診断、術中所見にて十分に検討することが重要であり、手術が可能であるならばできる限り肉眼的治癒切除を目指し積極的に血管合併切除も行うべきであると考えられた。 |
索引用語 | 膵臓癌, 血管浸潤 |