セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 086:

大腸Inflammatory myoglandular polyp の一例

演者 長尾 一寛(愛知医科大学 消化器内科)
共同演者 野田 久嗣(愛知医科大学 消化器内科), 木村 幹俊(愛知医科大学 消化器内科), 下郷 彰礼(愛知医科大学 消化器内科), 伊藤 義紹(愛知医科大学 消化器内科), 近藤 好博(愛知医科大学 消化器内科), 増井 竜太(愛知医科大学 消化器内科), 徳留 健太郎(愛知医科大学 消化器内科), 小笠原 尚高(愛知医科大学 消化器内科), 佐々木 誠人(愛知医科大学 消化器内科), 春日井 邦夫(愛知医科大学 消化器内科)
抄録 【症例】40歳,男性【既往歴】特記すべき事項なし【現病歴】検診で便潜血陽性を指摘され他院にて下部消化管内視鏡検査(CS)を施行したところ,S状結腸にポリープを認めたため治療目的で当院紹介となった.平成25年1月,CSではS状結腸に直径約12mm大の発赤調で表面が比較的平滑なIp型ポリープを認め,内視鏡的粘膜切除(EMR)にてポリープを切除した.病理組織検査所見では粘膜固有層の炎症細胞浸潤と,嚢胞状の拡張を伴う過形成腺管,また粘膜筋板由来の平滑筋の放射状の増成を認め,Inflammatory myoglandular polyp(IMGP)と診断した.【考察】IMGPは,血便あるいは便潜血陽性を主訴とした高齢男性での発生頻度が多いとされているが,本症例は比較的若年者における発症であった.また,S状結腸を中心とした左半結腸における発生が多いため,糞便等による腸管粘膜の慢性刺激が成因の一つと推察されている.内視鏡検査所見としては有茎性が約80%を占めるが,I型あるいはII型の pit patternを呈するため内視鏡所見のみで過形成性ポリープとIMGPを鑑別することは困難と考えられる.本症例においては,S状結腸の炎症性ポリープを疑ったが,確定診断を目的としEMRにてポリープを切除したところ,病理組織検査でIMGPと診断された.EMR施行時,インジゴカルミン散布やNBI等を併用した詳細な観察を行わなかったため不十分な術前内視鏡診断となったことは反省すべき点である.一見一般的な過形成の所見を呈するポリープであっても,本症例のように比較的稀なポリープも存在することを念頭に置き,可能な限り詳細な術前診断をする必要があると考えられた.今回我々は稀な疾患である大腸IMGPの一例を経験したので文献的考察を含め報告する.
索引用語 Inflammatory myoglandular polyp , 内視鏡的粘膜切除術