セッション情報 一般演題

タイトル 048:

手術標本により確定診断され、大腸癌に準じた化学療法を施行している尿膜管癌の1例

演者 若山 孝英(岐阜県総合医療センター)
共同演者 杉原 潤一(岐阜県総合医療センター), 清水 省吾(岐阜県総合医療センター), 芋瀬 基明(岐阜県総合医療センター)
抄録 【症例】67歳、男性。【既往歴】特記すべきことなし。【現病歴】2012年8月下旬から腹部膨満感を自覚していたが、経過観察していた。10月に入り軽度の背部痛も出現したため、近医を受診した。腹部エコーにて腹水大量貯留が認められたため精査加療目的にて10月15日当科紹介受診となった。【入院後経過】血液生化学・末血一般検査上は正常、腫瘍マーカーはCA19-9のみ156U/mlと上昇していた。腹水は滲出性でCEAとCA19-9が高値であり、細胞診にて粘液産生を伴う腺系の異型細胞集塊が認められた。細菌培養は陰性であった。造影CTでは膀胱に接し中心部に石灰化を伴う5cm大の乏血性腫瘍が認められ、腹膜播種も示唆された。PET-CTでは腫瘍部辺縁と大網に軽度の集積が認められる以外、異常集積像は認められず、いずれも播種巣と考えられた。尿検査、尿細胞診、膀胱鏡にても異常所見は認められなかった。腫瘍部エコーにて分葉状のcystic SOLが認められたが、針生検でも原発巣の特定は困難であった。また、上・下部消化管内視鏡では異常は認められなかった。以上より、鑑別診断として、尿膜管癌、虫垂癌、腹膜偽粘液腫、中皮腫、原発不明癌などが考えられた。内科的には確定診断が困難であったため、外科に腫瘍摘出を依頼した。11月7日腫瘍摘出、膀胱部分切除、大網切除(大網、腹膜播種結節は無数にみられ可能な範囲で切除)が施行された。病理学的には、尿膜管遺残が認められin situ病変と考えられる所見が認められ尿膜管由来の腫瘍と診断された。12月10日から大腸癌化学療法に準じてmFOLFOX6+BVを開始した。2013年9月現在、17クール継続中であり、stable diseaseを維持している。【考察】本症例は、最終的に外科手術により尿膜管癌という診断に至った。尿膜管癌は稀な疾患であり、治療法は標準化されていない。【結語】今回我々は、手術標本により確定診断され、大腸癌に準じた化学療法を施行している尿膜管癌を経験した。現在のところstable diseaseが継続しているが、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 尿膜管癌, mFOLFOX6+BV