セッション情報 |
一般演題(研修医(卒後2年迄))
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タイトル |
021:数年来胆管拡張を認めていた粘液産生胆管腫瘍の1例
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演者 |
蓑輪 彬久(いなべ総合病院) |
共同演者 |
埜村 智之(いなべ総合病院), 松永 誠治郎(いなべ総合病院), 伊藤 康司(いなべ総合病院), 平松 将人(いなべ総合病院) |
抄録 |
【症例】87歳男性【主訴】黄疸【既往歴】#1.慢性C型肝炎、#2.自己免疫性膵炎(疑)、#3肝内胆管・総胆管拡張(2004年から指摘)、#4脳出血、#5出血性胃潰瘍、#6 認知症【現病歴】#1-#3にて他院通院中、2012年1月に#4を起こし、当院に入院したため、通院が困難となり、#1-#3に対し当院内科に紹介。2012年10月の定期受診時の採血にて、黄疸を認め、精査目的にて入院しERCP施行した。乳頭からの粘液流出は無く、胆管上部に造影欠損を認めた為、総胆管結石と診断し、胆管チューブステント(EBD tube)を留置し終了。家族と相談し、これ以上の加療は希望せず退院となった。しかし、翌週の外来受診時に黄疸を認め、腹部レントゲンでEBD tubeの逸脱が疑われたため、再入院となった。【再入院時血液検査】T.Bil 6.4mg/dl、AST 123 IU/l、ALT 44 IU/l、LDH 377 IU/l、ALP 1283 IU/l、γ-GTP 858 IU/l、WBC 14300、CRP 3.2mg/dl【再入院後の経過】入院後、ENDB tubeを全区域枝に挿入したが、胆汁の流出は認めず減黄もされなかった。MRCPを施行するも、総胆管内には明らかな腫瘍や結石等の占拠性病変は認められなかった。そのため、18FrのPTBD tubeをB3から挿入したところ、淡黄色透明のゼリー状の粘液が吸引された。しかし徐々に全身状態が悪化し、昇天された。病理解剖は家族が希望されず施行せず。【まとめ】粘液産生胆管腫瘍は、胆管内の乳頭状増殖を主体とする腫瘍で、臨床的に明らかな粘液を産生する事を特徴とした腫瘍と定義される。粘液産生が少ない場合や腫瘍自体が小さい場合など、臨床所見が乏しく症状も消退を繰り返すものもあり、原因不明のまま経過をたどる症例も少なくなくない。MRCPやCTにて明らかな結石や腫瘍の存在が確認されていない総胆管拡張については、稀な疾患ではあるが粘液産生胆管腫瘍を考慮する必要があると考えられた。 |
索引用語 |
粘液産生胆管腫瘍, 胆管拡張 |