セッション情報 一般演題

タイトル 004:

早期胃癌に合併しEUSで指摘した胃GISTの一例

演者 水谷 泰之(公立学校共済組合 東海中央病院 消化器内視鏡センター)
共同演者 大塚 裕之(公立学校共済組合 東海中央病院 消化器内視鏡センター), 石川 英樹(公立学校共済組合 東海中央病院 消化器内視鏡センター)
抄録 症例:68歳,女性.現病歴:平成25年5月心窩部不快感を主訴に近医受診し,上部内視鏡検査施行し0-IIc型早期胃癌を疑われ当院紹介受診された.既往:高血圧症,子宮筋腫手術(平成6年).家族歴:なし.入院時現症:特記すべき所見なし.血液生化学検査:特記すべき所見なし.上部内視鏡検査:体部小彎に広範囲に広がるびらんを伴う0-IIc 病変を認めたが粘膜下腫瘍を示唆する隆起を認めなかった.やや褪色した不整形の陥凹を認め,びらんを伴うが浅いため,内視鏡的深達度はmと診断した.生検結果は低分化型腺癌(sig)であった.UGI:小彎線上に0-IIc病変を認めた.EUS:0-IIcの深達度はsmの診断であり,びらんを形成している部位に,境界明瞭で内部不均一な1cm大の低エコーを呈する円形の粘膜下腫瘍を認め,第4層と連続を認めGISTを第一に疑った.EUS上早期胃癌と連続を認めなかった.腹部造影CT:早期胃癌,明らかなリンパ節転移,粘膜下腫瘍を指摘できなかった.以上から0-IIc(sig),0-IIc直下のGISTの診断で,同年7月,腹腔鏡下胃全摘術,D1郭清,Roux-enY再建を施行した.病理組織学的所見:signet ring cellを含む低分化型管状腺癌:T1a(m),ly1,v1,PM0,N0,M0:StageIA,とGIST(紡錘形細胞の束状増殖を認め、免疫組織学的にはc-kit(+).CD34(+).S100(-).αSMA(-).Desmin(-)であり、核分裂像が散見され(5個/50HPF)中リスクに相当:T2,N0,M0 StageII)を認めた.術後経過は特に合併症もなく良好であったため第12病日に退院された.本例では術前GIF,CTではGISTは指摘できなかった.消化管上皮性腫瘍とGISTの合併例は散見されるが胃内に同時期に発生した例は1983年~2013年, key word「胃癌」,「GIST」で医中誌にて検索したところ17例程度と未だ少なく,胃癌とGISTの同一部位発生は本例を併せて3例と稀である.今回我々は,胃GISTと早期胃癌の同時合併例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
索引用語 早期胃癌, GIST