セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 091:

癌関連網膜症を合併した神経内分泌癌G3の1例

演者 大庭 行正(浜松医科大学附属病院 肝臓内科)
共同演者 下山 真(浜松医科大学附属病院 肝臓内科), 木次 健介(浜松医科大学附属病院 肝臓内科), 山崎 哲(浜松医科大学附属病院 肝臓内科), 千田 剛士(浜松医科大学附属病院 肝臓内科), 渡邉 晋也(浜松医科大学附属病院 肝臓内科), 則武 秀尚(浜松医科大学附属病院 肝臓内科), 川田 一仁(浜松医科大学附属病院 肝臓内科), 小林 良正(浜松医科大学附属病院 肝臓内科), 森 弘樹(浜松医療センター 病理診断科)
抄録 【症例】81歳男性【主訴】夜盲、羞明【既往歴】糖尿病、高血圧症、脳梗塞【家族歴】特記事項なし【生活歴】喫煙:5~7本/日×20年、アルコール:なし【現病歴】平成25年3月頃より進行性の夜盲、視野狭窄を自覚し4月下旬に近医眼科を受診した。5月に精査加療目的に当院眼科を紹介受診となり癌関連網膜症と診断され、原発精査目的の胸腹部単純CTにて肝右葉に径5cmほどの低吸収域と門脈本幹周囲腹部リンパ節の腫大を認め、精査加療目的に6月当科紹介受診となった。【現症】介助なしでの歩行は不可。嚥下機能低下。腹部は平坦で軟、肝触知せず。視力:右0.2( 0.9 x +2.5D = cyl -3.0D Ax. 90°)、左0.3(0.6 x +1.0D = cyl-1.5D Ax.90°)。両眼に高度の輪状暗点を認め、全視野網膜電図(ERG)は両眼ともa波、b波が高度に減弱。眼底検査ではっきりとした異常を認めず。【経過】造影CTでは肝腫瘍及び腹部リンパ節に造影効果を認め、FDG-PET/CTでも肝腫瘍及び腹部リンパ節に一致してFDG高集積を認めた。血液検査成績でT.Bil 0.5mg/dl、AST 33IU/l、ALT 34IU/l、ALP 249IU/l、LDH 323IU/l、γ-GTP 82IU/lと軽度の肝障害認めた。抗リカバリン抗体は陰性。腫瘍マーカーはNSE123ng/ml、シフラ3.4ng/ml 、CEA 3.8ng/ml、CA19-9 24U/ml、ProGRP 64.3pg/dl、AFP 2ng/ml、PIVKA-2 21mAU/mlとNSEのみ上昇していたことから、神経内分泌腫瘍を疑い肝腫瘍生検施行した。CD56、chromogranin A、synaptophysin陽性で、Ki-67標識率が80%以上と非常に高率であり、神経内分泌癌(WHO分類2010)と診断した。入院時よりADL低下が著しく、入院後に誤嚥性肺炎の併発を認め、上部消化管内視鏡検査は施行できたが下部消化管内視鏡検査を含めたその他追加精査の同意を得られなかったため、原発巣の同定に至らなかった。神経内分泌癌の予後は厳しく、積極的な治療を行っても予後改善および視力回復の可能性は低いと判断し、ご家族とも相談し無治療経過観察の方針とした。【考察】癌関連網膜症を合併した神経内分泌癌の一例を経験したため、文献的考察を加え報告する。
索引用語 神経内分泌癌, 癌関連網膜症