セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 068:

工夫した内視鏡生検にて確定診断に至ったMEN-1ガストリノーマの1例

演者 鈴木 孝典(名古屋第二赤十字病院)
共同演者 山田 智則(名古屋第二赤十字病院), 柴田 俊輔(名古屋第二赤十字病院), 鈴木 祐香(名古屋第二赤十字病院), 野尻  優(名古屋第二赤十字病院), 吉峰  崇(名古屋第二赤十字病院), 藤田  恭明(名古屋第二赤十字病院), 野村  智史(名古屋第二赤十字病院), 金本  高明(名古屋第二赤十字病院), 日下部 篤宣(名古屋第二赤十字病院), 蟹江  浩(名古屋第二赤十字病院), 坂 哲臣(名古屋第二赤十字病院), 林  克巳(名古屋第二赤十字病院), 折戸  悦朗(名古屋第二赤十字病院)
抄録 [症例] 67歳男性 [主訴]背部痛 [既往歴]十二指腸潰瘍 [家族歴]兄、妹:原発性副甲状腺機能亢進症[理学所見]特記事項なし[現病歴]2012年1月、上記主訴にて近医受診された。腹部超音波検査にて左副腎腫瘤を指摘され、当院内分泌内科に紹介受診となった。腹部CTでは左副腎に18mm×18mm大の腫瘤が認められた。また、採血でCa 11.4mg/dlと高値を認め、家族歴から副甲状腺機能亢進症が疑われた。i-PTH 111pg/mlと異常高値であり、家族性副甲状腺機能亢進症と診断され、MIBIシンチでは左副甲状腺下腺への集積が認められた。MEN-1遺伝子検査によってMEN1型と診断された。そこで、膵消化管内分泌腫瘍に対する精査が施行された。腹部造影CTでは膵の形態的異常や腫瘤は認められなかったが、十二指腸下行部に数mm大の結節状造影域が散見された。血中ガストリン値は5300μg/mlと高値であり、十二指腸潰瘍の既往からもガストリノーマが疑われた。内視鏡検査では、十二指腸下行部に微少な粘膜下腫瘤が散見された。超音波内視鏡では膵に腫瘤性病変を認めなかった。病変の局在診断として、選択的カルシウム動注負荷後肝静脈採血法を施行し上腸間膜動脈領域にて有意なガストリン上昇を認め、十二指腸領域の局在が疑われた。組織診断として、鉗子生検を2度施行したが、正常粘膜成分がほとんどであり腫瘍組織は得られなかった。3度目はincisionalおよびexcisional biopsyを行い、十分な粘膜下層組織が採取できたため、病理学的にガストリノーマと確定診断された。 [考察]2cm以下の消化管粘膜下腫瘍に対する超音波内視鏡下針生検の診断率は低く、今回のような数mm大の病変では困難である。一方、通常の鉗子生検でも診断に必要な組織が得られず診断に苦慮することがある。今回、微少な粘膜下腫瘍の診断にincisional およびexcisional biopsyが有用であった1例を経験したので報告する。
索引用語 ガストリノーマ, 内視鏡