セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 038:

抗血小板が原因で再出血をきたし、IVRにて止血し得た回腸憩室出血の1例

演者 中村 しの(木沢記念病院 消化器科)
共同演者 安田 陽一(木沢記念病院 消化器科), 足達 広和(木沢記念病院 消化器科), 中川 貴之(木沢記念病院 消化器科), 杉山 宏(木沢記念病院 消化器科), 杉山 誠治(同 総合診療科), 吉田 健作(同 総合診療科)
抄録 【症例】64歳、男性。2008年4月、心筋梗塞にてステント留置術施行され、以後近医にてアスピリン、クロピトグリルなどの内服加療されていた。2012年4月11日、血便を認めたため当院救急外来受診した。検査所見ではHb 9.3g/dlと貧血を認めた。12日に洗腸後、先端に透明フードを装着しCF施行したところ回腸に多発するびらん、終末回腸に憩室を認めた。憩室内に凝血塊、びらんを認め、同部からの出血と診断しクリップにて止血術を行なった。以後、再出血なく、18日に退院した。抗血小板剤は再開し、以後近医に転医となった。2013年2月23日より血便続くため25日に当院救急外来を受診した。検査所見では、Hb 9.1g/dlと貧血を認めた。造影CTにて回腸に造影剤の血管外漏出像を認めた。そこで、洗腸後、シングルバルーン小腸内視鏡を施行したところ終末回腸で、前回と同一と考えられる憩室より湧出性出血を認め、出血部位と診断した。クリップにて止血試みるも病変の正面視が困難で、内視鏡的には止血困難と診断したため、同日IVRを試みた。SMA造影にて、止血用クリップ付近の回結腸動脈から造影剤の血管外漏出像を認めたため、責任血管に対しマイクロコイル4本にて塞栓術を施行した。26日のCTでは、クリップの位置に一致して終末回腸の壁肥厚を認めた。27日の内視鏡では終末回腸の浮腫、びらんを認めるも止血は良好であった。術後、再出血、腹膜炎などの偶発症なく、28日より食事を開始した。3月5日よりクロピドグリル単剤を再開し、6日に退院となったが、現在まで再出血は認めていない。【結語】抗血小板剤が原因と考えられ、同一の憩室から出血をきたした回腸憩室出血の1例を経験した。内視鏡的に止血困難であったため、止血術に用いたクリップを指標にIVRにて安全に止血しえた。
索引用語 回腸憩室出血, IVR