セッション情報 | 一般演題(専修医(卒後3-5年)) |
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タイトル | 093:診断に苦慮した若年者巨大肝腫瘍の1例 |
演者 | 鈴木 祐香(名古屋第二赤十字病院 消化器内科) |
共同演者 | 日下部 篤宣(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 柴田 俊輔(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 野尻 優(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 吉峰 崇(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 藤田 恭明(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 野村 智史(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 金本 高明(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 蟹江 浩(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 坂 哲臣(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 澤木 明(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 林 克巳(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 新宮 優二(名古屋第二赤十字病院 一般消化器外科), 小松 俊一郎(名古屋第二赤十字病院 一般消化器外科), 長谷川 洋(名古屋第二赤十字病院 一般消化器外科), 折戸 悦朗(名古屋第二赤十字病院 消化器内科) |
抄録 | 症例:16歳女性。現病歴:学校検診で尿蛋白陽性を指摘され、近医より当院腎臓内科紹介受診。その際、施行した腹部超音波検査で巨大肝腫瘍を指摘され、精査目的で消化器内科紹介となる。既往歴:特記事項無し。薬剤:経口避妊薬やホルモン製剤の使用歴は無く、その他常用薬も無し。家族歴:特記事項無し。入院時現症:身長150.5cm、体重42.1kg、BMI18.6、右季肋部中心に児頭大の硬い腫瘤を触知。検査所見:血液検査ではAST 25IU/L、ALT17IU/Lと肝障害を認めなかった。AFPは正常範囲内であったが、PIVKA-IIは311mAU/mLと上昇を認めた。HBs抗原、HCV抗体は共に陰性であった。ICG15分値 4.3%と肝機能は良好であった。腹部造影CTでは肝右葉に17×12cmの内部不均一な巨大腫瘤を認めた。造影所見は動脈相で早期濃染を示し、門脈相でも遷延性濃染を認めた。腫瘍周囲の肝実質は脂肪肝を呈していた。ソナゾイド造影エコーではearly vascular phaseで腫瘍周囲から造影剤が流入する所見を認めたが、post vascular phaseでは明らかな欠損像を示さなかった。EOB-MRIでは内部に中心瘢痕様所見を認めたが、同部位は造影されなかった。造影パターンは造影CT同様、早期から濃染され遅延相まで造影効果の持続を認めた。肝細胞相では腫瘍はEOB取り込み亢進を示した。経過:鑑別診断としてFNH、肝細胞腺腫、fibrolamellar HCC等が挙げられたが、何れも典型的所見を示さず確定診断には至らなかった。肝外に突出する巨大な多血性腫瘍であること、また悪性腫瘍の可能性が否定できないことから経皮的肝生検は行わず、拡大右葉切除術を施行した。手術所見では最大径17cmの被膜を有する腫瘍であり、脈管等への浸潤所見は認めなかった。組織標本は周囲に被膜を形成した腫瘍であり、N/C比の増大した腫瘍細胞が索状に増殖し、部分的に核の大小不同を認めた。腫瘍内部には一部出血所見を認めた。肝細胞腺腫との鑑別は難しいが、最終的にHepatocellular carcinoma, Well differentiatedと診断した。結語:若年に発生した巨大肝腫瘍の1例を経験した。本症例は示唆に富む稀な疾患と考えられ、文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 肝腫瘍, 若年 |