セッション情報 一般演題

タイトル 025:

CA19-9高値を示した黄色肉芽腫性胆嚢炎の1例

演者 宮部 勝之(名古屋市立大学大学院 医学研究科 消化器代謝内科学)
共同演者 中沢 貴宏(名古屋市立大学大学院 医学研究科 消化器代謝内科学), 林 香月(名古屋市立大学大学院 医学研究科 消化器代謝内科学), 内藤 格(名古屋市立大学大学院 医学研究科 消化器代謝内科学), 清水 周哉(名古屋市立大学大学院 医学研究科 消化器代謝内科学), 近藤 啓(名古屋市立大学大学院 医学研究科 消化器代謝内科学), 山下 宏章(名古屋市立大学大学院 医学研究科 消化器代謝内科学), 梅村 修一郎(名古屋市立大学大学院 医学研究科 消化器代謝内科学), 堀 寧(名古屋市立大学大学院 医学研究科 消化器代謝内科学), 加藤 晃久(名古屋市立大学大学院 医学研究科 消化器代謝内科学), 大原 弘隆(名古屋市立大学大学院 医学研究科 地域医療教育学), 城 卓志(名古屋市立大学大学院 医学研究科 消化器代謝内科学)
抄録 症例は79歳女性、主訴は悪心、嘔吐。既往歴として虫垂炎手術歴あり。家族歴は父が胃癌。現病歴は2013年4月下旬より主訴出現。5月に入り発熱を繰り返すため近医受診。血液検査にて炎症反応とCA19-9高値を認めたため当院紹介受診。CTにて胆嚢腫大も認めたため、精査加療目的にて5月下旬当院入院となった。理学所見では、右季肋部に鶏卵大の腫瘤を触知するも圧痛は軽度。血液生化学的所見では白血球8400/mm3、CRP 9.28mg/dl、CA19-9 1686U/mlを認めた。腹部超音波検査では胆嚢腫大とともに全周性で不整な胆嚢壁肥厚を認めた。造影CTでは胆嚢頸部を中心に動脈相より造影される不整な壁肥厚があり、また胆嚢より肝実質内に連続する不均一な濃染像が存在し胆嚢壁との境界が不明瞭であることから、胆嚢癌の肝浸潤が疑われた。左右肝動脈や門脈左枝への浸潤も疑われた。超音波内視鏡では胆嚢腫大の他、胆嚢内部に胆泥が充満しており、胆嚢底部と肝実質との境界が不明瞭であった。以上より胆嚢癌または黄色肉芽腫性胆嚢炎を考え、胆嚢癌の肝浸潤が疑われる部位を二度経皮的に生検したが悪性細胞が得られなかった。入院5週間後のCTでは肝浸潤と思われた不均一な造影領域がやや縮小し、CA19-9も39.8U/mlと減少、経皮経肝的胆嚢穿刺術後の胆汁細胞診も陰性であったことから黄色肉芽腫性胆嚢炎の可能性が高いと考え、胆嚢および肝床切除を施行した。切除標本の胆嚢割面には黄色の結節が多発し、病理組織学的所見にて多数のコレステロール結晶、周囲の異物多核巨細胞、多数の泡沫状マクロファージの浸潤を認めたものの、明らかな異型細胞は認めなかったことから、黄色肉芽腫性胆嚢炎と診断した。本疾患は胆嚢壁の肥厚をきたし、画像的に胆嚢癌との鑑別が問題になる比較的まれな疾患であり、特に本症例では当初CA19-9高値にて胆嚢癌との鑑別が困難であったことから、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 黄色肉芽腫性胆嚢炎, CA19-9