セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 094:

ソラフェニブが著効した肝細胞癌・前縦隔転移の一例

演者 斉木 良介(三重県立総合医療センター)
共同演者 大矢 由美(三重県立総合医療センター), 川崎 優也(三重県立総合医療センター), 森谷 勲(三重県立総合医療センター), 田中 淳一郎(三重県立総合医療センター), 笠井 智佳(三重県立総合医療センター), 井上 英和(三重県立総合医療センター), 伊藤 信康(三重県立総合医療センター), 高瀬 幸次郎(三重県立総合医療センター)
抄録 症例は70歳男性。C型慢性肝炎に対しIFN治療無効。2010年8月腹部US上肝S4に20mm大のHCCが疑われ受診。AFP56ng/ml、PIVKAII299.0mAU/ml、EOB-MRI肝細胞相にてS4に26mm、S5に9mmの低信号を認めHCCと診断。同年9月に腹部血管造影検査を施行。CT-AP like imageにてS4に欠損像を認めるも腫瘍濃染を認めずlipiodolのみ注入。lipiodolの沈着を認めたS4の病変に対しエコー下RFAを施行した。2011年7月肝右葉に4個のviable HCCが疑われ同年8月腹部血管造影検査を施行するも明らかな腫瘍濃染像を認めず、中肝動脈造影でのCT-HA like imageのみ結節状の濃染を認め中肝動脈にTACEを施行した。術後のCT上S4・S8にlipiodol沈着を認めたため、腫瘍栄養血管が不明瞭なTACEでコントロール不能なHCCと考えられ、Child-Pugh Aであり同年9月からソラフェニブ400mg/日を開始した。同年12月に前区域とS4に再発を認め前区域枝とA4にTACEを施行後2012年1月にAFP17.4ng/ml、PIVKAII89mAU/mlまで低下したが、同年4月に再発し前区域枝とA4にTACE施行。7月にはS7にも腫瘍濃染を認め右肝動脈にTACEを施行した。同年6月にCT上前縦隔に3個腫瘤を認め、10月に増大を確認。PET-CTにて病変に一致し集積を認めた(AFP818.1ng/ml、PIVKAII11019mAU/ml)。同年11月胸腔鏡下にて一番下方の前縦隔腫瘍のみ摘出に成功、病理組織学的所見より肝細胞癌の転移と診断した。術後ソラフェニブを600mg/日に増量したところ縦隔に残った転移病変は8ヶ月間で著明に縮小(縮小率約40~60%)、肝病変に対してはTACEを繰り返すことにより腫瘍マーカーもAFP106.3ng/ml、PIVKAII519mAU/mlと減少した。肝細胞癌の縦隔転移例は稀であり、奏効率が5%前後のソラフェニブが著効しているため報告する。
索引用語 肝細胞癌縦隔転移, ソラフェニブ