セッション情報 一般演題

タイトル 097:

胃癌肝転移との鑑別が困難であった肝サルコイドーシスの1例

演者 菱田 光洋(名古屋大学 消化器外科学)
共同演者 杉本 博行(名古屋大学 消化器外科学), 猪川 祥邦(名古屋大学 消化器外科学), 村井 俊文(名古屋大学 消化器外科学), 岩田 直樹(名古屋大学 消化器外科学), 神田 光郎(名古屋大学 消化器外科学), 田中 千恵(名古屋大学 消化器外科学), 小林 大介(名古屋大学 消化器外科学), 山田 豪(名古屋大学 消化器外科学), 中山 吾郎(名古屋大学 消化器外科学), 藤井 努(名古屋大学 消化器外科学), 小池 聖彦(名古屋大学 消化器外科学), 野本 周嗣(名古屋大学 消化器外科学), 藤原 道隆(名古屋大学 消化器外科学), 小寺 泰弘(名古屋大学 消化器外科学)
抄録 症例は65歳男性。検診の胃透視で異常を指摘され、精査で胃癌と診断され当院紹介となった。Dynamic CTにて肝S7に約2cm、S5/6境界部に約1cmの低吸収病変を認めた。いずれも動脈後期相で弱く造影されその後漸増性に造影された。EOB-MRIではT1強調像で低信号、T2強調像で淡く高信号を示し、肝細胞相では低信号を呈した。PET-CTでは胃癌原発巣および肝病変ともに取り込みを認めなかった。以上より胃癌肝転移を最も疑った。しかし、造影超音波検査では、肝S7病変は深く評価困難であったが、S5/6境界病変は境界不明瞭で後血管相で欠損がまだらな像を呈し胃癌肝転移の典型像とは異なる所見であった。血液検査では、腫瘍マーカーは陰性で肝炎ウイルスも陰性であったが、IL-2R:573U/mlと高値であった。確定診断のため手術時に肝生検を行い、治療方針を決めることとした。手術開始時、経皮的に肝S5/6病変に対し肝生検を行い、迅速病理診断に提出した。結果は肉芽腫の診断であったため、胃癌に対し腹腔鏡下幽門側胃切除術を施行した。術後の精査にて、両肺の肺門・縦隔リンパ節腫大、肺生検での類上皮肉芽腫が確認され、CD4/8比が高値であったことにより、サルコイドーシスと診断した。以後、サルコイドーシスに対して薬物治療は行わずフォロー中であるが悪化は認めていない。肝サルコイドーシスはサルコイドーシスの20~30%に認めるとされ、ほとんど無症候性である。今回、比較的稀な肝サルコイドーシスの1例を経験したので、文献的考察も含め報告する。
索引用語 肝サルコイドーシス, 胃癌肝転移