セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 026:

胆嚢悪性リンパ腫の1例

演者 山田 啓策(半田市立半田病院)
共同演者 春田 明範(半田市立半田病院), 水野 和幸(半田市立半田病院), 川口 彩(半田市立半田病院), 岩下 紘一(半田市立半田病院), 森井 正哉(半田市立半田病院), 神岡 諭郎(半田市立半田病院), 大塚 泰郎(半田市立半田病院), 橋本 千樹(藤田保健衛生大学病院)
抄録 症例は68歳男性。右季肋部痛を主訴に近医受診し腹部超音波検査(US)、単純CT検査にて胆嚢内に胆石、胆嚢底部の壁肥厚を認めたため精査目的にて当科紹介受診となった。当院施行のUSでは胆嚢内に最大径10mmの胆石、底部の著明な壁肥厚を認め、RASやcomet signも伴っていた。また、胆嚢と接する肝S4領域に低エコー領域を認めた。腹部ダイナミックCT検査では胆石と底部の壁肥厚を認め胆嚢底部は周囲よりも強い造影効果を示していたが、肝S4の領域は周囲の肝と比較して造影効果は弱かった。MRCPの拡散強調像では胆嚢底部、肝S4の領域は著明な高信号を示していた。超音波内視鏡検査(EUS)ではUSと同様な所見を認め、肝臓の低エコー領域は境界明瞭であり腫瘍性病変よりは炎症性変化が考えられた。内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)では胆嚢底部に結石と思われる陰影欠損を認め、胆嚢底部には造影剤が流入しなかった。その他主膵管、総胆管には明らかな異常は認めなかった。以上の所見よりRASやcomet signを有していることから胆嚢腺筋腫症が疑われたが肝S4の病変、MRCPの拡散強調像の高信号など悪性を示唆する所見も認め、胆嚢癌の可能性も否定できなかったため患者と相談し外科にて拡大胆嚢摘出術を施行した。術後の経過は良好で第10病日退院された。胆嚢の最終病理所見では腫瘍は胆嚢上皮直下から胆嚢壁全層、肝臓へ及んでおり免疫染色にて悪性リンパ腫、diffuse large B-cell typeと診断された。後日血液内科常勤医のいる高次医療機関に紹介、化学療法を施行された。今回我々は術前診断に難渋した胆嚢悪性リンパ腫の1例を経験したため文献的考察を加えてここに報告する。
索引用語 胆嚢, 悪性リンパ腫