セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 049:

大腿ヘルニア嵌頓で発見された胃癌腹膜播種の1例

演者 前田 光貴(松阪中央総合病院 外科)
共同演者 玉置 久雄(松阪中央総合病院 外科), 三田 孝行(松阪中央総合病院 外科), 岩田 真(松阪中央総合病院 外科), 加藤 憲治(松阪中央総合病院 外科), 大澤 一郎(松阪中央総合病院 外科), 春木 祐司(松阪中央総合病院 外科), 福留 寿生(三重大学医学部附属病院 病理部)
抄録 大腿ヘルニアは日常診療でよく遭遇する疾患であるが、大腿ヘルニア嚢内に腫瘍が存在することは非常にまれである。今回我々は大腿ヘルニア嵌頓を契機に発見された胃癌腹膜播種の1例を経験したので報告する。【症例】69歳女性【既往歴】虫垂炎、脂質異常症、GERD【出産歴】3人経腟分娩【主訴】右鼠径部膨隆【現病歴】1ヶ月ほど前より右鼡径部膨隆を認め2012年11月某日に当院外科外来を受診。【入院時現症】身長147cm 体重38kg BMI17.6。腹部は平坦・軟。右鼡径靭帯の足側に用手的に還納できない母指頭大の硬い膨隆を認め、大腿ヘルニア嵌頓と診断した。【入院後経過】腹部症状を認めず、腹部レントゲンでもイレウスの所見を認めなかったため、待機的に大腿ヘルニア根治術(UHS使用)を施行した。手術所見では大腿輪から突出する約1cmのヘルニア嚢を認め、ヘルニア内容は大網であったが一部硬結が認められたため切除し病理に提出した。病理組織学的検査の結果、signet ring cell carcinomaの大網播種が疑われた。精査目的に施行したCTでは胃の周囲に多発リンパ節腫大、腹膜播種性病変を認め、上部消化管内視鏡検査で胃前庭部に3型病変を認めた。同部位の生検からヘルニア内容と同様の病理所見が得られたため、胃癌cT4aN2M1と診断した。その後S-1+CDDPによる化学療法を施行したが、病状は徐々に悪化し2013年5月某日に死亡された。【結語】本症例は胃癌の腹膜播種が大腿ヘルニア嵌頓を契機に発見された稀な症例である。今回、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 大腿ヘルニア, 腹膜播種