セッション情報 シンポジウム「炎症性腸疾患の診断と治療 up-to-date」

タイトル S-12:

CT enterographyにおける被曝量低減の試み

演者 白木 学(四日市社会保険病院 内科)
共同演者 山本 隆行(四日市社会保険病院 外科), 梅枝 覚(四日市社会保険病院 外科), 松本 好市(四日市社会保険病院 外科)
抄録 [はじめに]CT enterography(CTE)のクローン病診療における有用性が報告されているが、近年放射線被曝の観点からX線検査を乱用しないように警告されている。その対策として、線量を減らした所謂low dose CTEが提案されており、当科でもCT自動露出機構と逐次近似型画像再構成 を用いて被曝量低減を試みている。今回我々は当科で施行しているlow dose CTEについて症例を提示して報告する。[症例1] 47歳男性。平成8年に小腸型クローン病と診断され、成分栄養剤とメサラジンで寛解維持療法中。回腸部分切除術の既往がある。平成25年7月に腹痛が出現し当科紹介となった。CTEでは吻合部狭窄を認め、口側には造影効果と壁肥厚を認めた。線量指標のdose-Length Product(DLP)は315.1 mGy・cmでCTDIvolは5.70 mGyだった。[症例2]79歳男性。平成22年に診断された小腸型クローン病で、メサラジン、インフリキシマブによる寛解維持療法中。経過中CRP上昇が認められ、当科紹介となった。CTEでは終末回腸に軽度の造影効果と壁肥厚を認めた。層状化は認めなかった。またその口側に壁肥厚と腸管の狭小化、造影効果、comb signを認めた。DLPは323.6 mGy・cm、CTDIvolは5.80mGyだった。[症例3]22歳男性。平成19年に診断された小腸大腸型クローン病で、メサラジン、インフリキシマブによる寛解維持療法を施行していた。平成21年に回腸部分切除術の既往がある。平成25年5月に再燃し、インフリキシマブからアダリムマブに変更して寛解導入し、維持投与している。小腸病変の精査目的に当科紹介となった。CTEでは終末回腸に壁肥厚と造影効果を認め、その口側に複数の偏側性変形を認めた。DLPは228.3 mGy・cmでCTIvolは4.70mGyだった。[考察]被曝量低減を試みる前は14±1.7mSvだったが現在4.2±0.70mSvと、70%程度低減しているが、検討可能な画像が得られている。今後は腸管外病変を含めて炎症所見の評価方法を確立し、現在様々な検査方法がある中でクローン病診療におけるCTEの位置づけを検討する必要があると思われた。
索引用語 CTenterography, クローン病