セッション情報 ワークショップ14(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

患者にやさしい上部消化管内視鏡検査の工夫

タイトル 消W14-12:

磁気誘導型カプセル内視鏡の胃観察プロトコールに関する検討

演者 細江 直樹(慶應義塾大・内視鏡センター)
共同演者 日比 紀文(慶應義塾大・消化器内科), 緒方 晴彦(慶應義塾大・内視鏡センター)
抄録 [目的]胃の観察を目的とした磁気誘導型のカプセル内視鏡(Magnetically Guided Capsule Endoscopy:MGCE)が開発され、MGCEと上部消化管内視鏡との比較試験をフランスにて2010年2月から4月に実施した。さらなる検討のため2011年9月より第2回臨床試験を試行中である。第2回臨床試験では改良した前処置法を用いて観察を行っているが、今回その前処置法の有効性を検討した。[方法]臨床試験の前段階として、前処置改良を目的とした、ペパーミントオイル、ポリエチレングリコール溶液、シメチコン、マウスウォッシュを用いた健常者における検討を、日本とフランスにて計56名に対し実施した。その後、本試験をフランスにて2011年9月から本年3月までに上部消化管内視鏡の適応とされた有症状・有所見の患者200名を対象とし現在実施中である。本抄録では、途中経過として130名の患者(平均年齢52.4(21-75)歳)における結果を記載する。今回採用したプロトコールは、胃洗浄の為に水500mlとシメチコン1030mgを服用し、1時間後に追加の水400mlを摂取。その後400mlの水で胃を拡張した上でカプセル内視鏡を内服し、体位を左側臥位、背臥位、右側臥位の順に変更しながら、胃内観察するというものである(観察時間上限:20分)。本検討ではその改良効果を検討する為に、胃の洗浄度、拡張度、収縮度をGradingし評価した。[結果]検査時間は、上限を設定し観察方法の大枠を標準化した結果、第1回臨床試験では平均16.6分(9.5-25.4)であったものが、平均10.5分(5.0-20.0)に短縮された。胃の洗浄度は、Excellent 71.1%、Moderate 21.1%、Poor 7.8%であった。胃の拡張度は、Sufficient 98.4%、Insufficient 1.6%であった。胃の収縮度は、Ignorable 84.6%、Moderate 7.7%、Strong 7.7%であった。[結論]シメチコンの使用や検査時間の短縮が、透明度、拡張度、収縮度の改良因子になる可能性が示唆された。発表当日は、200例全例を解析し、第1回臨床試験結果との比較も交えて考察する。
索引用語 カプセル内視鏡, 上部内視鏡