セッション情報 | シンポジウム「炎症性腸疾患の診断と治療 up-to-date」 |
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タイトル | S-13:クローン病に対するパテンシーカプセルとカプセル内視鏡検査の有用性 |
演者 | 吉村 透(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学) |
共同演者 | 中村 正直(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学), 山村 健史(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学), 山田 弘志(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学), 名倉 明日香(名古屋大学医学部附属病院 光学医療診療部), 中野 有泰(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学), 大島 啓嗣(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学), 舩坂 好平(名古屋大学医学部附属病院 光学医療診療部), 大野 栄三郎(名古屋大学医学部附属病院 光学医療診療部), 宮原 良二(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学), 川嶋 啓揮(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学), 伊藤 彰浩(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学), 廣岡 芳樹(名古屋大学医学部附属病院 光学医療診療部), 後藤 秀実(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学DELIMITER名古屋大学医学部附属病院 光学医療診療部) |
抄録 | 【背景・目的】2012年7月にパテンシーカプセル(PC)が保険収載され、クローン病においてもカプセル内視鏡(CE)による小腸粘膜病変の評価が可能になった。当院ではクローン病に対して積極的にCEを行っており、全国で有数の症例数を経験している。本研究の目的は、当院でのクローン病症例に対するPC検査の現状とCEの有用性について検討することである。【方法】 対象は2013年6月までに当院でPCを施行したクローン病41例(男28例、女13例、年齢35.4±10.8歳)である。方法は、まずPCの開通性に関与する因子について統計学的な検討をした。さらにPCで開通性が確認でき、CEを行った30例(男性19例、女性11例、平均年齢36.0±12.7歳)についてルイススコア、Capsule Endoscopy Crohn’s Disease Activity Index (CECDAI)を算出検討した。【結果】 PC内服33時間以内における開通率は30/41(73.2%)であり(確認方法:目視14例、単純X線15例、CT12例)、PCに伴う偶発症は認めなかった。内視鏡的バルーン拡張後、狭窄形成術後、慢性腹痛を有する症例では有意にPCの開通性が低下していた(16.7%、0%、41.7%、P=0.0071、0.0033、0.0064)。CEを行った30例のルイススコアの中央値は225、CECDAI の中央値は6であった。CECDAIは血清CRP値と正の相関 (r=0.438、P=0.019)を認めた。しかし、CRPが正常値(CRP<0.30mg/dl)やIOIBDが1以下であってもルイススコア、CECDAIが高値を示す症例を比較的多く認めた。1例でPCが開通したにもかかわらずCEが滞留し、ダブルバルーン内視鏡でも回収できず外科手術を行った。【結論】偶発症、適応症例について課題が残されているが、クローン病患者においてPCは開通性判断に有効であり、CEは炎症マーカーや臨床症状からは判断できない小腸粘膜病変の評価に有用であった。 |
索引用語 | クローン病, カプセル内視鏡 |