セッション情報 一般演題

タイトル 079:

腸回転異常症を伴った大腸癌の一例

演者 田中 浩敬(公立学校共済組合 東海中央病院 消化器内視鏡センター)
共同演者 大塚 裕之(公立学校共済組合 東海中央病院 消化器内視鏡センター), 水谷 泰之(公立学校共済組合 東海中央病院 消化器内視鏡センター), 石川 英樹(公立学校共済組合 東海中央病院 消化器内視鏡センター)
抄録 症例は61歳、男性。既往歴は10年前に憩室炎。手術歴なし。2013年5月に会社の検診で貧血を指摘され、6月に内科受診となった。血液検査所見ではHb 11.0 g/dlと軽度貧血を認める以外は特記すべき所見を認めなかった。腫瘍マーカーはCEA 1.39 ng/ml, CA19-9 4.9 U/ml と正常範囲内であった。CFでは肛門縁より15cmに1/3周性の2型の進行癌、20cmにIp型早期癌、80cmに広基性の隆起性病変の3箇所の病変を認めた。15cmの進行癌、80cmの広基性の隆起性病変に対しては生検を施行し、病理結果はそれぞれ 高~中分化Adenocarcinoma, High grade Adenoma であった。また、20cm のIp型早期癌に対してはポリペクトミーを施行し、病理結果は adenocarcinoma derived from adenoma 、SM head invasion, ly1, v1, HM0, VM0 であった。また、注腸造影では、S状結腸は体の右側に癒着しており、腸管は途中から腹腔内を横断するように左側に向かい、盲腸は左側に位置しており、腸回転異常と診断した。以上より、腸回転異常症を伴った直腸癌、Adenocarcinoma in adenoma以上の病変と診断し、外科で腹腔鏡下低位前方切除術、横行結腸腺腫切除術を施行した。病理診断は15cmの進行癌は Colon cancer, pType2, tub2, pMP, INFb, int, ly1, v2, pPM0, pDM0, pN0, pMX 、80cmの広基性の隆起性病変はColon cancer (Adenocarcinoma in adenoma), pType0-I sp, tub1 (in adenoma), pM, ly0, v0, pVM0, PDM0, PHM0 であった。本症例はAmir-Jahed の分類におけるIV型の retroarterial left-sided cecum と考えられた。腸回転異常症は胎生期における腸管の回転や固定の異常によって生じる疾患であり、出生10,000人に1人の頻度で発生すると推定されている。また、腸回転異常に大腸癌の合併する頻度は比較的高く、11.9%と報告されている。今後、高齢化に伴い他疾患の検査や手術時に偶然の発見される腸回転異常症例は増加すると考えられる。今回我々は腸回転異常症を伴った大腸癌の一例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 腸回転異常症, 大腸癌