セッション情報 |
シンポジウム「炎症性腸疾患の診断と治療 up-to-date」
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タイトル |
S-01:難治性潰瘍性大腸炎に対するinfliximab治療の当院での成績
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演者 |
西江 裕忠(岐阜県立多治見病院 消化器内科) |
共同演者 |
水島 隆史(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 市川 紘(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 鈴木 雄太(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 福定 繁樹(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 井上 匡央(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 加地 謙太(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 安部 快紀(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 岩崎 弘靖(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 西 祐二(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 奥村 文浩(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 佐野 仁(岐阜県立多治見病院 消化器内科) |
抄録 |
【背景・目的】本邦では2010年6月より潰瘍性大腸炎(UC)に対してinfliximab(IFX)治療が保険適応となり難治性UCに対する有効性が報告されている.今回われわれは当院での難治性UCに対するIFX治療の現況をステロイド離脱率,離脱後寛解維持期間を中心に検討した.【対象・方法】(検討1)2010年7月以降に当院でIFX治療を受けた難治性UC21例(ステロイド抵抗性7例,依存性14例)を対象とし,IFX治療の有効性を臨床的・内視鏡的スコアを用いて検討した.(検討2)IFXを6ヶ月以上継続投与可能であった14例における長期経過をステロイド離脱率,離脱後寛解維持期間を中心に検討した.疾患活動性はLichtiger’s clinical activity index(CAI)を使用し,CAI≦4.0を臨床的寛解とし,内視鏡所見はMatts Gradeで評価した.【結果】(1)IFX投与時寛解状態でなかった17例中12例(70%)で寛解導入が可能であった.CAIは投与前10±4.3に対し投与後は4.4±2.3と有意に改善した(P<0.05).Matts gradeも3.2±1.0から2.3±1.3へと有意に改善していた(P<0.05).(2)寛解導入率は83%(10/12),でうち6例(60%)は現在まで寛解を維持しており,手術は0例であった. IFX導入時にステロイドが投与されていた12例中10例(83%)でステロイドは離脱可能であったが、5例で再導入がなされていたステロイド離脱から再導入までの期間の中央値は129日であり,5例ともステロイド投与で再寛解導入されステロイドは漸減中止されていた.【考察】当院においてもIFX治療は寛解導入率,維持率ともに高く,難治性UCに対して有効な治療法であった.一方で長期経過の検討では,ステロイド離脱率は83%であったが,半数ではステロイドの一時的な再導入が必要であった.ステロイドフリーの寛解維持期間の延長のためIFX投与間隔,投与量,併用薬の検討などが今後の課題と考えられた. |
索引用語 |
潰瘍性大腸炎, インフリキシマブ |