セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 032:

下血を契機に診断された小腸カルチノイドの1例

演者 十時 利明(三重大学医学部附属病院 消化器・肝臓内科)
共同演者 葛原 正樹(三重大学医学部附属病院光学医療診療部), 原田 哲朗(三重大学医学部附属病院 消化器・肝臓内科), 野尻 圭一郎(三重大学医学部附属病院 消化器・肝臓内科), 北出 卓(三重大学医学部附属病院光学医療診療部), 田野 俊介(三重大学医学部附属病院光学医療診療部), 山田 玲子(三重大学医学部附属病院 消化器・肝臓内科), 濱田 康彦(三重大学医学部附属病院光学医療診療部), 井上 宏之(三重大学医学部附属病院 消化器・肝臓内科), 田中 匡介(三重大学医学部附属病院光学医療診療部), 堀木 紀行(三重大学医学部附属病院光学医療診療部), 竹井 謙之(三重大学医学部附属病院 消化器・肝臓内科)
抄録 【症例】40歳代、男性。タール便にて前医を受診し、Hb5.4g/dlの貧血を指摘された。上下部消化管内視鏡で特に異常所見を認めなかった。輸血後、Hb9.1g/dlまで回復したが、小腸出血が疑われ精査目的で当科紹介受診した。外来でカプセル内視鏡検査(CE)を施行し小腸(内服開始から1時間28分)に粘膜下腫瘍(SMT)様の隆起性病変を認めた(小腸通過は3分~3時間53分)。出血は認めなかった。入院後施行した経口的ダブルバルーン内視鏡(DBE)では挿入範囲に異常所見を認めなかった。経肛門的DBEにて回腸に平坦な隆起性病変を確認した。病変は約10mm大、立ち上がりはなだらかで、表面は正常の絨毛に覆われていた。中心部にびらんを認め、同病変が出血の責任病変と考えられた。生検で腫瘍細胞は両染性胞体を持ち、胞巣状~管状増殖を認め、免疫染色ではChromograninA(+),CD56/NCAM(+),Synaptophysin(+)でカルチノイドと診断された。CT上明らかな転移は認めなかったため、腹腔鏡下回腸部分切除を施行された。最終病理診断は、カルチノイド, 9×10mm, pT3(ss), ly(-), v(-), PM(-), DM(-)であった。【考察】曽我らの報告によると、本邦における消化管カルチノイドの頻度は、直腸、胃、十二指腸、虫垂、小腸の順であり、小腸カルチノイドは稀な疾患である。小腸カルチノイドは初期の段階では自覚症状に乏しく、腹部CTなど偶然発見される症例が多かった。最近では、原因不明の消化管出血(OGIB)を契機に発見される報告が散見される。本症例は下血を契機に小腸カルチノイドを診断された1例で若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 消化管出血, 小腸カルチノイド