セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 073:

診断と再燃においてステロイド・ミニパルス療法が有用であった自己免疫性膵炎の一例

演者 羽根田 賢一(春日井市民病院)
共同演者 管野 琢也(春日井市民病院), 奥田  悠介(春日井市民病院), 杉山 智哉(春日井市民病院), 尾関 貴紀(春日井市民病院), 池内 寛和(春日井市民病院), 望月 寿人(春日井市民病院), 平田 慶和(春日井市民病院), 高田 博樹(春日井市民病院), 祖父江  聡(春日井市民病院), 奥村 文浩(岐阜県立多治見病院), 中沢 貴宏(名古屋市立大学大学院医学研究科消化器・代謝内科学)
抄録 症例は71歳男性。体重減少と口渇を主訴に近医を受診。糖尿病(HbA1c 11.7%)、CA19-9上昇、腹部CTで膵尾部腫大を認め平成23年2月に当科紹介。CA19-9 187.6U/ml、Span-1 34.8U/mlと上昇していたが、IgGも 175mg/dlと上昇していた。腹部造影CTでは膵尾部腫大および尾部背側の造影不領域を認めた。MRCPでは体部主膵管の長い狭窄と尾部主膵管の断続的狭窄を認めたが胆道系には異常を認めなかった。EUSでは膵体尾部は全体的に低エコーで膵管の描出は不良であったが、腫瘤と思われる病変は描出されなかった。ERCPでは胆道系に有意な異常所見は認められなかった。また膵管は頭部しか十分な造影ができなかった。PET-CTにおいては膵体部の高度集積とその尾側の軽度集積を認めた。IgG4関連疾患を疑うも膵癌の否定をするために関連施設へEUS-FNAを依頼。同施設でのERPは膵体尾部主膵管の広狭不整と分枝膵管の拡張を認めた。EUS-FNAでは細胞はごく少量しか得られず、IgG4陽性細胞および悪性細胞とも認められなかった。自己免疫性膵炎の診断目的でmethylprednisolone 500mg/日 3連日/週(ステロイド・ミニパルス)を2週連続で行った。効果判定のCTでは膵体尾部の腫大の改善を認めた。ERCPでは膵管像の変化は認められなかった。以上から総合的に膵癌は否定的と考え自己免疫性膵炎と診断した。その後当院へ再紹介となった。糖尿病はHbA1c 5%台に改善し、無症状かつ限局性自己免疫性膵炎であったため後療法については実施しなかった。その後経過良好であったが平成25年2月より糖尿病のコントロールが徐々に増悪(HbA1c 6-8%台)し、5月の腹部CTでは膵尾部の腫大を認めた。血液検査では膵酵素の軽度上昇を認めたため自己免疫性膵炎の再燃と診断した。前回のステロイド・ミニパルスにて病状の改善を認めたため、今回も同様にステロイド・ミニパルスを6月に実施した。効果判定CT、MRCPでは膵尾部の腫大は改善し、血液検査所見と糖尿病の改善も認めた。ステロイド・ミニパルスが有用であった自己免疫性膵炎の一例を経験した。若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 自己免疫性膵炎, ステロイド・ミニパルス