セッション情報 | 一般演題(専修医(卒後3-5年)) |
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タイトル | 108:アルコール性肝硬変に筋肉内血腫を合併した2例 |
演者 | 荒木 幸子(名古屋市立東部医療センター 消化器内科) |
共同演者 | 伊藤 恵介(名古屋市立東部医療センター 消化器内科), 佐橋 秀典(名古屋市立東部医療センター 消化器内科), 浅野 剛(名古屋市立東部医療センター 消化器内科), 川村 百合加(名古屋市立東部医療センター 消化器内科), 北川 美香(名古屋市立東部医療センター 消化器内科), 今井 宗憲(名古屋市立東部医療センター 消化器内科), 田中 義人(名古屋市立東部医療センター 消化器内科), 長谷川 千尋(名古屋市立東部医療センター 消化器内科), 川合 孝(名古屋市立東部医療センター 消化器内科) |
抄録 | 【はじめに】アルコール性肝硬変は肝不全や消化管出血などの様々な合併症をきたす予後不良の疾患である。今回我々は筋肉内血腫の合併を契機に死に至ったアルコール性肝硬変の2例を経験したので文献的考察を加えて報告する。【症例1】39歳、女性。飲酒歴焼酎4杯/日がありアルコール性肝硬変で当院通院中。階段から転落し左臀部を打撲され当院受診。同部の腫脹が著明であり緊急入院となった。入院後腫脹と皮下出血は急激に増悪し、第6病日Hb 9.7から5.5g/dlと貧血の進行も認め、造影CTにより筋肉内の血管外漏出を認めた。濃厚赤血球(MAP)や新鮮凍結血漿(FFP)を投与するも効果不十分で、同日TAE施行し一旦止血されるも再出血を繰り返し、第17病日、第42病日、第48病日と計4回TAEを施行した。4回目のTAE施行時の右大腿穿刺部からの出血が止血困難となり、肝不全、腎不全を併発し、第63病日他界された。【症例2】49歳、男性。既往に糖尿病あり。飲酒歴は調理師で仕事中に常時飲酒していたため量の詳細は不明。アルコール性肝硬変で通院中。自宅にて数回転倒し全身倦怠感と意識障害が出現したため当院救急搬送された。入院後、アミノレバン投与にて意識障害は改善したが、17時頃右下肢の疼痛、しびれの訴えありCTを施行したところ右臀部の筋肉内血腫を認めた。21時頃、突然の意識レベル低下と血圧低下を認め、CTを再検したところ血腫の増大を認め、Hb10.1から3.8g/dl と著明な貧血の進行とPT12.3% と凝固能増悪を認めたため、MAPやFFPを輸血した。TAEは全身状態が極めて不安定であり施行は困難で、その後肝不全や腎不全の増悪を認め第5病日他界された。【考察】本邦報告例を検索したところ、肝硬変に筋肉内血腫を合併した報告例は21例で、その内アルコール性によるものは77%と最多であった。また61%が出血性ショックや肝不全で死亡されており、アルコール性肝硬変での筋肉内血腫合併は重篤かつ致死的であり、周知するべき合併症と考えられた。 |
索引用語 | 筋肉内血腫, アルコール性肝硬変 |