セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 107:

肝硬変に伴う出血性十二指腸静脈瘤に対しB-RTOが有用であった一例

演者 植村 友稔(小牧市民病院)
共同演者 舘 佳彦(小牧市民病院), 宮田 章弘(小牧市民病院), 平井 孝典(小牧市民病院), 小原 圭(小牧市民病院), 小島 優子(小牧市民病院), 灰本 耕基(小牧市民病院), 佐藤 亜矢子(小牧市民病院), 飯田 忠(小牧市民病院), 和田 啓孝(小牧市民病院), 濱崎 元伸(小牧市民病院), 永井 慎太郎(小牧市民病院)
抄録 【背景】B-RTO(balloon-occluded retrograde transvenous obliteration)は胃腎シャントを有する胃底部静脈瘤の第一選択の治療法である。十二指腸静脈瘤は比較的まれな症例であり、十二指腸静脈瘤に対するB-RTOの有効性は確立されていない。今回十二指腸静脈瘤に対しB-RTOが奏功した一例を経験したため報告する。【症例】64歳、女性【現病歴】2012年11月見当識障害にて当院消化器内科受診し、自己免疫由来の肝硬変による肝性脳症と診断された。2013年1月上部消化管検査にて十二指腸水平部にF2~F3の静脈瘤を認めた。その後経過観察されていたが、2013年4月吐下血にて当院救急外来へ救急搬送された。【経過】受診当日、精査治療目的にて入院となった。入院時検査ではALB 2.1g/dl T-Bil 2.8mg/dl PT43.1% と肝硬変(Child-Pugh C)、加えてRBC254万/ul Hb9.7g/dlと低下を認めた。腹部造影CT、上部消化管内視鏡検査において十二指腸水平脚に静脈瘤を認めたが、明らかな出血部位は同定できなかった。十二指腸静脈瘤からの出血を第一に考え、入院第1病日、第2病日B-RTOによる硬化療法を施行した。腹部血管造影検査では左卵巣静脈からの十二指腸静脈瘤への側副血行路を認め、塞栓術が施行された。B-RTO後反応性にCreの上昇を認めたが、利尿剤投与により改善した。第6病日上部消化管内視鏡検査にて十二指腸静脈瘤からの出血は認めず、第7病日の腹部造影CT検査において十二指腸静脈瘤への血流消失、血栓化を確認し、他の遠肝性門脈側副路発達を認めなかった。第17病日に全身状態良好、退院となり現在外来通院中である。【考察】B-RTOの長所は、内視鏡では捉えきらない静脈瘤の全体像を明らかにし、バルーン留置により巨大な静脈瘤に対しても迅速な血栓化が得られる点である。加えて、長期的な肝予備能や生命予後の改善が見込まれる。十二指腸静脈瘤に対してもその排血路が単純であればB-RTOが可能であり、十二指腸静脈瘤に対してB-RTOが有用であるとの報告も散見される。今後、同様の症例の蓄積により十二指腸静脈瘤に対してB-RTOの有効性が確立されることを期待する。
索引用語 十二指腸静脈瘤, B-RTO