セッション情報 一般演題

タイトル 098:

腹腔鏡下に切除した肝紫斑病の1例

演者 藤幡 士郎(名古屋市立大学病院 消化器外科)
共同演者 松尾 洋一(名古屋市立大学病院 消化器外科), 柴田 孝弥(名古屋市立大学病院 消化器外科), 岡田 祐二(名古屋市立大学病院 消化器外科), 木村 昌弘(名古屋市立大学病院 消化器外科), 竹山 廣光(名古屋市立大学病院 消化器外科)
抄録 【背景】肝紫斑病は類洞の拡張と肝内に多発する血液の貯留腔を認める稀な疾患で,WHOの肝腫瘍の組織学的分類では腫瘍類似病変に分類されている.背景疾患には膠原病や悪性腫瘍,ステロイドや免疫抑制剤の使用,結核などの感染症に伴う消耗性疾患がある.術前診断に難渋し,腹腔鏡下に切除をした本症を経験したので報告する.【症例】38歳,女性.特記すべき既往歴や服薬歴なし.検診超音波検査で肝腫瘍を指摘され,血管腫として経過観察されていたが増大傾向を認め当院へ紹介となった.血液生化学検査では異常を認めず,肝炎ウイルスも陰性であった.CT検査では,S6に20mm大と10mm大の腫瘍性病変を認めた.造影によりfill in様の濃染効果を認めるも平衡相で造影不良な部分を認め,血管腫としては非典型であった.EOBプリモビストMRIでは,CTで認めた病変は,T1強調像で不整形低信号,T2強調像,拡散強調像で軽度高進号を呈し,辺縁はやや不明瞭であった.造影早期相により不均一に増強され,内部に粒状の造影不良域を伴っていた.肝細胞層では全体が低信号を呈していた.以上より,非典型的な血管腫が疑われたが,悪性疾患も否定できず,腹腔鏡下肝部分切除(S6部分切除)を施行した.病理組織学的所見では,mild chronic hepatitisを背景に,類洞の拡張を認める出血を多数認め,Peliosis hepatisと診断した.術後約1.5年,再発なく経過している. 文献的考察を加え報告する.
索引用語 肝腫瘍, 肝紫斑病