セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
044:Y字胃管バイパス術後の放射線化学療法にてCRの得られた胸部食道癌の2例
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演者 |
田中 達也(名古屋市立大学 医学研究科 消化器外科) |
共同演者 |
木村 昌弘(名古屋市立大学 医学研究科 消化器外科), 石黒 秀行(名古屋市立大学 医学研究科 消化器外科), 小川 了(名古屋市立大学 医学研究科 消化器外科), 齋藤 慎一郎(名古屋市立大学 医学研究科 消化器外科), 溝口 公士(名古屋市立大学 医学研究科 消化器外科), 竹山 廣光(名古屋市立大学 医学研究科 消化器外科) |
抄録 |
切除不能進行食道癌に対してバイパス術やステントを行うことがあるが、多くの症例において長期予後は期待できない。われわれはバイパス術後に化学放射線療法を行い長期生存の得られた2症例を経験したので報告する。症例1 70歳男性 主訴:嚥下時つかえ感 現病歴:つかえ感のため近医を受診、上部消化管造影検査で異常を指摘されて当院を紹介された。上部消化管造影検査で胸部食道下部左壁に不整な隆起を認めた。上部消化管内視鏡検査では上歯列から35cmよりほぼ全周性の不整隆起を認め、ファイバーは通過しなかった。生検で高分化扁平上皮癌と診断した。CTでは胸部下部食道に腫瘤を認め、大動脈と一部接していたが、浸潤は認めなかった。手術所見で下大静脈、大動脈への浸潤を認め、切除を断念。術前経口摂取不能であったことを考慮し、Y字胃管によるバイパス術を施行。術後に化学放射線療法(シスプラチン8mg/m2と5FU350 mg/m2を5日間・2コース、放射線は67.2Gy)を行った。CTで腫瘍は指摘できなくなり、術後11年経過現在、増悪傾向なく経過している。症例2 67歳女性 主訴:嚥下困難 現病歴:嚥下困難のため近医を受診、上部消化管内視鏡で食道癌を疑われて当院を紹介された。上部消化管造影検査で胸部食道中~下部左壁に不整な隆起を認めた。上部消化管内視鏡検査では上歯列から25~30cmに2/3周性の不整隆起を認めた。生検で中分化扁平上皮癌と診断した。CTでは胸部下部食道に腫瘤を認めたが、隣接臓器への浸潤は認めなかった。手術所見で肺静脈への浸潤を認め、切除不能と判断した。術前経口摂取不能であったため、Y字胃管バイパス術を施行、術後化学放射線療法(シスプラチン10mg/m2と5FU350 mg/m2を5日間1コース、放射線は55.8Gy)を行い、CTで腫瘍を指摘できなくなった。術後2年7カ月現在まで増悪傾向無く経過している。限られた症例ではあるが、切除不能進行食道癌であってもバイパス手術によりQOLを維持し、積極的に化学放射線療法を行うことで長期生存が得られる症例もある。症例を選択することで有用な術式と考えている。 |
索引用語 |
食道癌, Y字胃管バイパス |