セッション情報 シンポジウム「炎症性腸疾患の診断と治療 up-to-date」

タイトル S-05:

当院における潰瘍性大腸炎治療の検討

演者 灰本 耕基(小牧市民病院 消化器内科)
共同演者 宮田 章弘(小牧市民病院 消化器内科), 平井 孝典(小牧市民病院 消化器内科), 舘 佳彦(小牧市民病院 消化器内科), 小原 圭(小牧市民病院 消化器内科), 小島 優子(小牧市民病院 消化器内科), 佐藤 亜矢子(小牧市民病院 消化器内科), 飯田 忠(小牧市民病院 消化器内科), 和田 啓孝(小牧市民病院 消化器内科), 濱崎 元伸(小牧市民病院 消化器内科), 永井 真太郎(小牧市民病院 消化器内科)
抄録 【背景】近年,強力な薬剤,特にインフリキシマブやタクロシムスなどの登場で潰瘍性大腸炎の臨床は大きく変化したと言える.【目的】今回我々は,新規薬剤使用例を中心に,当院における潰瘍性大腸炎治療の検討を行った.【対象と方法】当院における潰瘍性大腸炎255例のうち,難治性潰瘍性大腸炎として新規治療薬が投与された13例を対象に臨床経過・治療成績などを検討した。内訳は,初回タクロリムス(TAC)投与した10例と,初回インフリキシマブ(IFX)投与した3例.初回TAC投与した10例では,年齢は20~68歳(平均40.7歳),男性5例,女性5例であった.全例ステロイド抵抗例であった.【成績】初回TAC有効例は10例中6例で,一次寛解導入率は60%であった.そのうち,3例では再燃なく経過観察中である.3例ではその後再燃あり,IFX,ステロイドで再度寛解導入が可能であった.初回TAC無効例に対してIFXを3例で投与し,1例では2次救済可能であった.一方,3例では手術が行われた.一方,初回IFX有効例は3例中2例だった.有効例では現在もIFXによる維持療法を施行している.無効例の1例ではTACも無効であり手術となった.【結論】TAC・IFXどちらを先行させるかについてはさまざま議論されている.当院ではTACを使用する症例が多かったが,それは,保険適応が早かったこと,院内でTACの血中濃度の測定が可能であったことが主な理由である.また,当院で両者による治療を試みたのは,TAC→IFX 4例,IFX→TAC 1例のみで、二次救済可能であったのは,TAC→IFX 2例のみであった.IFXでは経験は少ないが,維持療法可能というメリットがある.二次救済を試みる際には,感染リスク増大が懸念される点が,今後の治療ストラテジー確立において争点となると考えられる.
索引用語 潰瘍性大腸炎, タクロリムス