セッション情報 一般演題

タイトル 105:

胆管狭窄を伴った肝多房性嚢胞性病変の1例

演者 原田 哲朗(三重大学 医学部附属病院 消化器・肝臓内科)
共同演者 井上 宏之(三重大学 医学部附属病院 消化器・肝臓内科), 野尻 圭一郎(三重大学 医学部附属病院 消化器・肝臓内科), 田野 俊介(三重大学 医学部附属病院 光学診療部), 北出 卓(三重大学 医学部附属病院 光学診療部), 山田 玲子(三重大学 医学部附属病院 消化器・肝臓内科), 葛原 正樹(三重大学 医学部附属病院 光学診療部), 濱田 康彦(三重大学 医学部附属病院 光学診療部), 田中 匡介(三重大学 医学部附属病院 光学診療部), 堀木 紀行(三重大学 医学部附属病院 光学診療部), 臼井 正信(三重大学 医学部附属病院 肝胆膵・移植外科), 伊佐地 秀司(三重大学 医学部附属病院 肝胆膵・移植外科), 竹井 謙之(三重大学 医学部附属病院 消化器・肝臓内科)
抄録 症例は66歳、男性。以前より近医での腹部USにて左肝内胆管の拡張と多房性の肝嚢胞を指摘されていた。肝嚢胞が増大傾向にあることから、2013年3月に当科紹介となった。当科初診時の血液検査では黄疸・肝胆道系酵素・腫瘍マーカーの上昇は認めなかった。造影CTとMRIではB2/B3合流部に33mm大の多房性嚢胞性病変を認め、末梢胆管(B2、B3)の軽度拡張を認めた。EUSやDIC-CTでは、嚢胞と胆管の交通所見は認めなかった。FDG-PETでは肝左葉の嚢胞性病変には集積を認めなかった。ERCPではB2/B3合流部付近に圧排様の狭窄を認め、狭窄部でのブラシ擦過細胞診は陰性であった。また各種画像検査では明らかな嚢胞内結節は認めなかった。以上の結果から、第一には単純性肝嚢胞を考えたが、多房性嚢胞・胆管狭窄の存在から鑑別診断としてIPNBの可能性も否定できなかった。本人・外科医と相談の結果、肝切除の方針となった。当院外科にて腹腔鏡補助下肝左葉切除+胆嚢摘出術を施行された。術後経過は良好であり、病理組織学的には悪性所見は認めず、単純肝嚢胞と診断された。画像所見から単純性肝嚢胞と腫瘍性嚢胞との鑑別に苦慮した症例を経験したため、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 肝嚢胞, 胆管狭窄