| セッション情報 |
シンポジウム「炎症性腸疾患の診断と治療 up-to-date」
|
| タイトル |
S-09：当院での潰瘍性大腸炎における白血球除去療法(LCAP)の検討
|
| 演者 |
磯部 祥（山下病院 内科） |
| 共同演者 |
富田 誠（山下病院 内科）, 金沢 宏信（山下病院 内科）, 広瀬 健（山下病院 内科）, 鈴木 悠土（山下病院 内科）, 服部 昌志（山下病院 内科）, 中澤 三郎（山下病院 内科） |
| 抄録 |
【目的】近年、難治性潰瘍性大腸炎の治療においてインフリキシマブやタクロリムスなどの治療方法が適応となり、治療方針が多様化してきた。以前からあるLCAPも重症例や難治例に主に用いられているが、その安全性や治療成績は多くは報告されていない。今回当院における白血球除去療法(LCAP)の治療成績について検討した。【対象】当院にて2002年1月から2011年6月までに内視鏡学的および病理組織学的に潰瘍性大腸炎と診断され、白血球除去療法(以下、LCAP)を施行したのは61例（平均年齢43.2歳、男性37例、女性24例）であった。そのうちLCAP施行回数が1回であった1例と、大腸全摘術後、遺残直腸に炎症が再発した1例は除外した計59例を対象として検討した。【方法】LCAP4～6回施行した群を1クール施行群(20例)、LCAP8～11回施行した群を2クール施行群(39例)とし、それぞれの症例について寛解率、Partial DAI、Lichtiger CAIを用いて施行前後の変化について検討を行った。【結果】1クール施行群における寛解導入率は70.0%(20例中14例）で、LCAP前のPartial DAIは平均4.6、Lichtiger CAIは平均9.6であった。施行直後2.6と4.7、LCAP終了1カ月後2.2と3.3、2ヶ月後2.3と4.4、3か月後1.8と2.8であり、LCAP前と比較していずれのタイミングでも有意に改善していた。2クール施行群における寛解導入率は79.5%(39例中31例)で、LCAP前のPartial DAIは平均5.3、Lichtiger CAIは平均10.9であった。LCAP2クール施行後2.2と3.8、LCAP終了1カ月後2.7と4.7、2ヶ月後2.4と4.2、3ヶ月後2.3と4.2であり、LCAP前と比較していずれのタイミングでも改善していた。数値の変化について比較したが、1クール施行群と2クール施行群の間に差は認められなかった。28例中2例において皮疹、薬物アレルギーにより処置を必要としたが、点滴加療にて改善した。【結語】LCAPは潰瘍性大腸炎において安全で有効な治療の一つであった。 |
| 索引用語 |
潰瘍性大腸炎, 白血球除去療法 |
