セッション情報 一般演題

タイトル 106:

腹水穿刺後にエルカルニチンを静脈投与することによりこむら返りが改善した肝硬変患者の1症例

演者 堀田 直樹(増子記念病院 肝臓内科)
共同演者 綾田 穣(増子記念病院 肝臓内科), 小竹 克博(肝臓外科), 小山 寛一(肝臓外科), 黒川 剛(肝臓外科)
抄録 はじめに:近年、カルニチンが潜在性肝性脳症(MHE)を有する肝硬変患者において血中アンモニア及び認知機能を改善するのに有用であることが示されている。本邦でもレボカルニチン製剤が医療用医薬品として発売されており「カルニチン欠乏症」に使用できるようになったので2次性のカルニチン欠乏症とされている肝硬変患者への使用は、可能になった。当院は、透析および慢性腎疾患の患者が多く通院しており、これらの患者においてもカルニチンの筋症状の改善に有効であるとの報告が散在されるようになった。今回我々は、腹水穿刺後にエルカルニチンを静脈投与することによりこむら返りが改善した肝硬変患者の1症例を経験したので報告する。 症例は、73歳女性。主訴は、腹部膨満感。既往歴は、特記すべき事項なし。現病歴は、nonBnonC肝硬変にて、外来フォロー中。10日に1回腹水排液のため入院をしている。4L排液時には、こむら返りの出現はないが、当人の状態で5L排液時には、こむら返りが出現した。もともと、こむら返り出現していたので、経口のエルカルニチン製剤の投与はされていたが、通常は、コントロールされているが、今回5L排液するため、点滴にてエルカルニチン製剤を投与した。結果:以前よりエルカルニチン製剤は、投与されているので、カルニチン値は、正常であったが、投与後の採血では、いずれも上昇を認めていた。また、遊離脂肪酸、アンモニア値の低下を認め、こむら返りの出現は、認めなかった。結語:大量腹水排液時の有症状改善方法のひとつとして、カルニチン点滴も選択肢になるかもと示唆された。
索引用語 エルカルニチン, 腹水貯留