セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 039:

空腸憩室穿孔の1例

演者 安江 祐二(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科)
共同演者 芳野 純治(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科), 乾 和郎(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科), 若林 貴夫(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科), 片野 義明(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科), 小林 隆(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科), 三好 広尚(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科), 小坂 俊仁(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科), 友松 雄一郎(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科), 山本 智支(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科), 松浦 弘尚(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科), 成田 賢生(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科), 鳥井 淑敬(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科), 森 智子(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科), 黒川 雄太(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科), 細川 千佳生(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科)
抄録 【症例】94歳女性【主訴】下腹部痛【既往歴】慢性心不全、心房細動(H16年~)、胃癌(H8年 胃幽門側胃切除術)【現病歴および経過】H19年6月中旬より慢性心不全、便秘症にて循環器内科に入院中であった。便秘症に対してはセンノシド、パンテチン、酸化マグネシウム、ピコスルファートナトリウム内服にて排便コントロールを行っていた。H19年9月初旬に下腹部痛が出現し、当科に紹介された。理学的所見では腹部全体に圧痛、筋性防御を認めた。血液検査にてWBC11100/ul、CRP4.32mg/dlと炎症反応の上昇を認め、腹部CT検査では、腹腔内にfree airを認めた。穿孔部位の確認のために、上部消化管内視鏡検査を実施したが、十二指腸下行部までに明らかな穿孔部位は認めなかった。消化管穿孔、汎発性腹膜炎の診断で同日外科に転科し、緊急開腹手術を施行した。術中所見では、トライツ靭帯から約50cmの空腸までの腸間膜側に多数の憩室を認め、そのうちの1つの憩室(トライツ靭帯から約20cm)に穿孔を認めた。憩室を含む空腸部分切除術、洗浄ドレナージ術を施行した。病理組織学的検査では空腸仮性憩室の穿孔と診断された。腸管内異物や異所性組織・悪性所見は認めなかった。術後経過は良好で、第10病日に循環器内科に転科となり退院後も症状の再発は認めていない。【考察】消化管憩室のうち小腸憩室(Meckel憩室を除く)は発生頻度が1.4~3.2%と比較的稀な疾患であり、高齢者に好発する。また、小腸憩室のほとんどは無症状で経過するが、約10%に外科的治療が必要とされる急性病変を合併するといわれている。その合併症の1つとして憩室穿孔があり、腹膜炎の診断にて開腹手術が行われた症例が報告されている。今回我々は稀な空腸憩室穿孔の症例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 小腸憩室, 穿孔