セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 092:

肝原発神経内分泌細胞癌の1例

演者 村田 礼人(順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科)
共同演者 玄田 拓哉(順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科), 廿楽 裕徳(順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科), 佐藤 俊輔(順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科), 成田 論隆(順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科), 金光 芳生(順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科), 石川 幸子(順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科), 菊池 哲(順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科), 森 雅史(順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科), 平野 克治(順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科), 飯島 克順(順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科), 前川 博(順天堂大学医学部附属静岡病院 外科), 佐藤 浩一(順天堂大学医学部附属静岡病院 外科), 市田 隆文(順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科)
抄録 症例は80歳代男性。2013年5月中旬、食欲不振と発熱を主訴に近医受診。腹部CTで肝内腫瘤性病変を指摘され当院紹介。入院時血液検査では、軽度の肝胆道系酵素の上昇を認めたが、各種腫瘍マーカーは陰性であった。腹部超音波検査では肝左葉外側区域にhaloを伴い周囲肝実質と比較して高エコーを呈する10cm大の腫瘤性病変が認められ、病変末梢と病変内に拡張した胆管が認められた。造影CTでこの病変は動脈相から門脈相、平行相まで辺縁に弱い造影効果を認めたが、病変内部はいずれの相でも造影効果に乏しかった。MRIではT1低信号、T2高信号、DWIで信号の亢進を示し、EOB肝細胞造影相で病変内に造影効果は認めなかった。MRCPでは病変内部を貫通して走行する胆管が認められた。腹部血管造影検査で病変は辺縁の淡い濃染像を認めた。angioCT上この病変は、CTAPでperfusion defectを示し、CTHAでは病変辺縁の弱い造影効果を認めた。上下部消化管内視鏡検査では異常が認められず、PET-CTでも肝左葉外側区域の病変以外には集積を認めなかった。診断確定のために行った腫瘍生検で得られた組織では、N/C比の高い腫瘍細胞の小胞巣状から索状の配列を示す増殖が認められた。免疫組織学的に腫瘍細胞はEMA、CK7、p53、ChromograninA、synaptophysin陽性、Ki67 labeling index 90%であり、神経内分泌細胞癌と診断した。治療として肝外側区域切除術が施行されたが、術中に門脈左枝への浸潤と前区域への肝内転移が認められた。切除標本肉眼所見では薄い線維性皮膜を有する14cm大の腫瘍であり、病変内部には拡張した胆管が貫通していた。また門脈左枝に浸潤が認められた。以上の所見と、画像上肝外に病変を認めないことから最終的に肝原発神経内分泌細胞癌と診断した。神経内分泌腫瘍は神経内分泌細胞に由来する腫瘍であり、消化器領域では主に消化管と膵臓に好発することが知られているが、肝臓原発のものは極めてまれであり、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 肝原発神経内分泌細胞癌, 神経内分泌腫瘍