セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 075:

Walled-off pancreatic necrosisに対し内視鏡的ドレナージ術を施行した重症壊死性膵炎の一例

演者 奥藤 舞(名古屋掖済会病院 消化器科)
共同演者 神部 隆吉(名古屋掖済会病院 消化器科), 大橋 暁(名古屋掖済会病院 消化器科), 岩田 浩史(名古屋掖済会病院 消化器科), 水谷 佳貴(名古屋掖済会病院 消化器科), 泉 千明(名古屋掖済会病院 消化器科), 西川 貴広(名古屋掖済会病院 消化器科), 橋口 裕樹(名古屋掖済会病院 消化器科), 倉田 祥行(名古屋掖済会病院 消化器科)
抄録 【症例】68歳男性
【既往歴】2型糖尿病、十二指腸潰瘍、膀胱腫瘍
【現病歴】早朝より心窩部痛・冷汗が出現。改善を認めなかったため救急要請し当院救急外来を受診した。
【検査所見】血液生化学検査にてアミラーゼ1,842 U/lと著明な高値を認めた。腹部造影CTにて膵実質の造影不良域は認めなかったが、膵全体の腫大と腎下極以遠までの炎症波及を認め、急性膵炎と診断した。予後因子はBase Excess -5.3mEq/lの1点で、CT所見は2点であったことから重症急性膵炎と診断した。総胆管内に結石を複数認めたことから、胆石性と判断した。
【臨床経過】第3病日に腹部造影CTを再検したところ、膵頭部から膵尾部にかけて膵臓の1/2以上の領域が造影不良を呈しており、膵壊死の進行を認めた。第11病日の腹部CTで膵体部に嚢胞性病変の出現を認めた。その後も嚢胞は増大傾向を示し、嚢胞増大に伴う腹部膨満感の増強がみられた。また、炎症反応高値も持続したため、嚢胞内感染を疑い第30病日に内視鏡的にピッグテールカテーテルを留置した。しかし、カテーテル留置後も嚢胞の縮小が得られなかったため、第33病日に内視鏡的に瘻孔を拡張し、ENBDチューブを嚢胞内に留置した。処置翌日(第34病日)の腹部CTで嚢胞の縮小を認め、その後も嚢胞は縮小傾向であった。第45病日にENBDチューブを自己抜去されたが、嚢胞の増大は認めなかった。しかし、経口摂取不良などから全身状態は悪化傾向であり、第66病日に敗血症性ショックで永眠された。
【剖検所見】胃体部から嚢胞内にピッグテールカテーテルが挿入されており、胃壁と嚢胞の癒着を認めた。嚢胞壁は不明瞭で内部に多量の壊死物質を認めた。壊死物質を培養した結果、Escherichia coliKlebsiella pneumoniaeが検出された。
【結語】Walled-off pancreatic necrosisに対する治療法として内視鏡的膵管ステント、内視鏡的・経皮的ドレナージなどが挙げられる。今回walled-off pancreatic necrosisに対し内視鏡的ドレナージ術を行った症例を経験したので報告する。
索引用語 Walled-off pancreatic necrosis, 内視鏡的ドレナージ術