セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 051:

SMA狭窄による腸管壊死を起こした一例

演者 吉崎 道代(公立陶生病院)
共同演者 森田 敬一(公立陶生病院), 黒岩 正憲(公立陶生病院), 林 隆男(公立陶生病院), 清水 裕子(公立陶生病院), 松浦 哲生(公立陶生病院), 竹中 宏之(公立陶生病院), 鈴木 静乃(公立陶生病院), 石川 恵里(公立陶生病院), 古根 聡(公立陶生病院), 鳥山 和浩(公立陶生病院)
抄録 【はじめに】我々は今回、上腸間膜動脈(SMA)狭窄による腹部アンギーナから腸管壊死をきたし、緊急腸管切除後に残存腸管の血流を保つため、経皮的血管形成術(PTA)を施行した症例を経験したためここに報告する。【症例】79歳女性【主訴】心窩部痛【現病歴】H○年3月から食後に悪化する心窩部痛にて5月に当院受診された。外来にて腹痛精査のため施行した上部消化管内視鏡は異常なく、腹部超音波検査は胆泥のみであった。5月22日、注腸造影検査を予定していたが、検査前の薬も飲めないくらい痛みが悪化したため当院再受診し、同日入院となった。造影CTにてSMA起始部より4.5cm末梢の中結腸動脈に99%の狭窄を認めたが、側副血行路よりSMAの末梢血管の造影はされており、SMA狭窄による腹部アンギーナと診断した。1か月前に冠動脈にステントを留置したばかりで手術は難しく、血管外科に相談し待機的にSMAの狭窄に対しPTAを行う予定となった。入院後より欠食、補液、硝酸薬、プロスタグランジン製剤を開始し、以後腹部症状ないため5月27日より食事再開した。5月29日腹痛悪化したため5月30日大腸内視鏡検査を施行し、回盲部、横行結腸、下行結腸に縦走潰瘍を認め、SMA狭窄による虚血性変化と考えられた。採血と腹部造影CT、大腸内視鏡検査の所見と合わせて、腸管壊死と考えられ緊急手術となった。開腹所見は、汚染腹水と腸管壊死を認め、回腸を中心に約120cm切除した。残存腸管への血流確保が不安であったため、術後循環器内科に依頼し、SMAより末梢の中結腸動脈末梢側にステントを留置し血行再建を行い、回結腸動脈の血流の改善を認めた。空腸動脈第1、2枝の狭窄もあり第1枝をバルーン拡張施行した。集中治療室にて術後管理を行い、経過順調にて6月7日より食事再開とした。6月11日に撮影した造影CTでは中結腸動脈に留置したステントがより末梢の分枝に流れていたが、虚血症状なく、SMA末梢の血流は改善しているため経過観察とした。経過よく7月12日退院となった。【結語】本例は比較的まれな疾患と考えられ、文献を加えて報告する。
索引用語 SMA狭窄, 腹部アンギーナ