セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 045:

食道癌化学放射線療法後の大動脈食道瘻に対して大動脈ステントグラフト(EVAR) を挿入し、出血死を回避し得た2例

演者 宮津 隆裕(浜松医科大学 消化器内科)
共同演者 岩泉 守哉(浜松医科大学 消化器内科), 樋口 友洋(浜松医科大学 消化器内科), 川崎 真佑(浜松医科大学 消化器内科), 鏡 卓馬(浜松医科大学 消化器内科), 山田 貴教(浜松医科大学 消化器内科), 栗山 茂(浜松医科大学 消化器内科), 杉本 光繁(浜松医科大学 消化器内科), 大澤 恵(浜松医科大学 消化器内科), 杉本 健(浜松医科大学 消化器内科)
抄録  局所進行食道癌に対する化学放射線療法(CRT)は有用な反面、種々の合併症の報告が認められる。大動脈浸潤のある食道癌に対してCRTを行い、経過中に大動脈食道瘻(AEF)の認め大動脈ステントグラフト内挿術(EVAR)にて失血死を回避し得た2例を経験した。【症例1】70歳男性。主訴は心窩部痛、咳嗽。X-1年1月頃嗄声を認め8月には嚥下困難感が出現、 10月に近医での精査で胸部中部食道癌(T4N1M0, stageIVa)と診断された。手術が考慮されFP療法が施行されるも奏効せず、 X年1月より低用量CDGP+5FU併用CRTを施行後, 地固めCDGP+5FU併用化学療法が2コース行われた。 2コース目施行時の上部消化管内視鏡 (EGD) にて深掘れ潰瘍あり化学療法は中止となった。食事の通過時のつかえ感と痛みが強くなり、6月に胃瘻造設目的に再入院となった。入院直後に大量の吐血を認めるもその後再吐血を認めなかったため経過観察された。後の胸部造影CTでAEFの所見が認められ、第14病日にEVARを施行した。その後も吐血なく経過し、第34病日に近医へ転院された。転院後1ヶ月半で呼吸不全により永眠された。【症例2】 64歳男性。主訴は吐血。Y年8月飲酒後に吐血し近医へ救急搬送された。緊急EGDにて中部食道に3/4周性の2型腫瘍を認め、活動性の出血は認めないものの腫瘍部からの出血と判断され、APCで止血された。その後精査加療目的に当科転院となり、精査にて胸部中部上部食道癌(T4N2M0, stageIVa)の診断され、 8月下旬より低用量CDGP+5FU併用CRTを開始した。開始後14日目に吐血を認めるもEGDで明らかな出血源が同定されず、CRTを中止し保存的加療の方針となったが、翌日に再度吐血を認めた。緊急胸部CTにてAEFによる出血と判断され、同日緊急EVARを施行した。術後吐血はなく経過し、当科転院後第53病日に近医へ転院となった。転院後1ヶ月半で原病の悪化により永眠された. 経験した2例では失血死は回避可能であったが、大動脈ステントグラフト挿入後のQOLを念頭に置いた管理を含め、示唆に富むと思われたため、若干の文献的考察を交え報告する。
索引用語 食道癌, 大動脈食道瘻