セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 040:

腸管症関連T細胞リンパ腫の1例

演者 青木 聡典(JA愛知厚生連 海南病院 消化器内科)
共同演者 吉岡 直輝(JA愛知厚生連 海南病院 消化器内科), 柴田 寛幸(JA愛知厚生連 海南病院 消化器内科), 武藤 久哲(JA愛知厚生連 海南病院 消化器内科), 廣崎 拓也(JA愛知厚生連 海南病院 消化器内科), 石川 大介(JA愛知厚生連 海南病院 消化器内科), 國井 伸(JA愛知厚生連 海南病院 消化器内科), 渡辺 一正(JA愛知厚生連 海南病院 消化器内科), 奥村 明彦(JA愛知厚生連 海南病院 消化器内科), 三輪 高也(JA愛知厚生連 海南病院 外科), 浅尾 優(JA愛知厚生連 海南病院 血液内科), 後藤 啓介(JA愛知厚生連 海南病院 病理診断科)
抄録 今回我々は、非常に希な腸管症関連T細胞リンパ腫の1例を経験したため報告する。症例は60歳男性。H25年4月上旬より腹部膨満と下痢が出現。その後も1ヶ月以上症状が持続するため入院精査となった。腸炎として絶食、補液にて保存的治療を開始するも症状の改善がみられず、腹部膨満がさらに増悪、麻痺性イレウスの状態を呈してきた。このためイレウス管を挿入し、腸管内圧の減圧等を試みたが、敗血症から肺炎を発症し、入院第18病日にICUでの集中管理となった。状態は一時改善し、ICU退出となったが、退出後4日目(第24病日)に再び呼吸状態が悪化、再度ICUでの集中管理が必要となった。第32病日には消化管穿孔が疑われ、同日緊急で回腸切除術が行われた。切除された回腸は全体に浮腫状で、複数の穿孔部を認めた。病理検査の結果、小腸粘膜固有層から漿膜にかけて、CD3陽性、 CD8陽性、CD56弱陽性、CD68陰性の小型単核球様異型細胞がびまん性に増殖しており、T細胞リンパ腫と診断された。第39病日には血液内科にてプレドニゾロンの投与が開始されたが、すでに多臓器不全の状態であり、積極的な化学療法は困難な状態であった。その後消化管出血と消化管再穿孔を来たし、第46病日に永眠された。腸管症関連T細胞リンパ腫は世界的にも非常に希な疾患であり、Celiac病の好発地に多いといわれている。空腸や回腸に発生することが多いとされ、コントロール不能な吸収不良が原因で患者が衰弱し、腹部の併発症による死亡例が多いとされる予後不良の疾患である。一般的に化学療法抵抗性であり、全身状態が不良になる前に外科的切除に踏み切る必要があるとされるが、術前の診断は非常に困難である。本症例においても、消化管穿孔後の外科的腸管切除により診断がなされており、すでに急速に全身状態が悪化していたため化学療法の施行が困難であった。本症例は同意が得られたため病理解剖を実施しており、その結果を含めて報告する。
索引用語 腸管症関連T細胞リンパ腫, 消化管穿孔