セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル 120:

急性肝炎症状にて発症しデング熱と診断された1例

演者 津本  知沙(トヨタ記念病院 消化器科)
共同演者 高士 ひとみ(トヨタ記念病院 消化器科), 篠田 昌孝(トヨタ記念病院 消化器科), 鈴木 貴久(トヨタ記念病院 消化器科), 村山 睦(トヨタ記念病院 消化器科), 森島 賢治(トヨタ記念病院 消化器科), 曽田 智大(トヨタ記念病院 消化器科), 山田 健太郎(トヨタ記念病院 消化器科)
抄録 【患者】54歳女性【主訴】発熱、全身倦怠感【既往歴】気管支喘息、糖尿病、甲状腺機能低下症、肝障害【家族歴】なし【飲酒歴】なし【現病歴】8月下旬、実家のあるフィリピンに滞在。8月末から38-39度台の発熱、倦怠感、頭痛生じ日本に帰国後近医受診。肝酵素上昇を指摘され、当院紹介受診。急性肝炎疑いで同日入院。【現症】体温39.5度、黄疸なし、頚部リンパ節腫脹なし、上腹部に軽度圧痛、皮疹なし【血液検査】AST433U/L、ALT473U/L、白血球2,100/μL、CRP1.7mg/dL、HBs抗原陰性、HCV抗体陰性【腹部CT】脂肪肝と肝左葉腫大以外に特記すべき所見なし【臨床経過】肝障害の原因検索のため肝炎ウイルスマーカー等の諸検査をおこなったがすべて陰性であった。入院後も高熱が続き、頭痛が持続した。また、血小板減少が進行し重症化が懸念されたが、その後安静補液のみで症状、肝障害、血小板減少とも改善した。海外渡航歴から、デング熱も疑われ血液検査を依頼した結果、PCRでデングウイルス2型が陽性となりデング熱と診断した。【考察】デング熱は蚊によって媒介されるデングウイルスの感染によって生じ、4つの血清型に分類される。異なる血清型のデングウイルスには再感染し、再感染ではデング出血熱となる可能性が高まる。3-14日間の潜伏期間ののち、発熱、頭痛、関節痛などで発症し、体幹を中心とした紅色丘疹を伴う。重症化すると循環不全や中枢神経障害、肝障害を合併することがある。治療は対症療法。入院時は発熱、肝酵素上昇から急性肝炎が疑われたが、デング熱流行地での滞在歴から、デング熱罹患が疑われ、診断に至った。我が国での事例は全て輸入感染例であるが、年々増加しており、海外渡航者の発熱を伴う肝障害ではデング熱などの感染症も考慮する必要がある。【結語】肝障害を伴うデング熱の一例を経験したので報告した。
索引用語 デング熱, 急性肝炎