セッション情報 |
シンポジウム「炎症性腸疾患の診断と治療 up-to-date」
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タイトル |
S-10:アミノサリチル酸製剤による潰瘍性大腸炎寛解維持療法の長期予後因子の検討
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演者 |
近藤 好博(愛知医科大学病院 消化器内科(消化管部門)) |
共同演者 |
佐々木 誠人(愛知医科大学病院 消化器内科(消化管部門)), 春日井 邦夫(愛知医科大学病院 消化器内科(消化管部門)) |
抄録 |
【背景】潰瘍性大腸炎(UC)の治療において,アミノサリチル酸製剤(ASA)は寛解導入および寛解維持に使用される中心的治療薬であるが,本邦における維持療法に関するエビデンスは少ない.【目的】UCにおけるASA寛解維持療法における長期予後因子を検討し,ASAの適切な使用方法を考察する.【方法】6か月以上ASAによる寛解維持療法継続した58名(のべ135寛解維持療法)に関して,2年以内の再燃に及ぼす因子(寛解導入方法・回数,再燃回数,ステロイド依存・難治性,寛解維持投与量,服薬コンプライアンス)をretrospectiveに検討した.なお,薬剤の増量,変更,追加を伴う症状の増悪を再燃と定義した.【結果】単変量解析における2年以内の再燃のリスク因子は,維持療法におけるASA低用量(ペンタサ:2g未満,サラゾピリン:3g未満,アサコール:2.4g未満)(OR:3.0,95%CI:1.40-6.38,P=0.006)とステロイド依存・難治(OR:8.9,95%CI:1.08-66.49,P=0.02)であった.多変量解析においては,ASA低用量(OR:2.5,95%CI:1.10-5.80,P=0.03),ステロイド依存・難治(OR:4.6,95%CI:1.24-101.99,P=0.03),ASA服薬率80%未満(OR:2.3,95%CI:1.01-5.18)が有意な再発因子として抽出された.【結語】長期寛解維持には,十分量のASA製剤を投与し,服薬遵守を指導することが重要と思われた. |
索引用語 |
潰瘍性大腸炎, アミノサリチル酸製剤 |