セッション情報 一般演題

タイトル 101:

肝pseudolymphoma切除2年後に悪性リンパ腫を発症した1例

演者 武藤 久哲(JA愛知厚生連 海南病院 消化器内科)
共同演者 吉岡 直輝(JA愛知厚生連 海南病院 消化器内科), 柴田 寛幸(JA愛知厚生連 海南病院 消化器内科), 青木 聡典(JA愛知厚生連 海南病院 消化器内科), 廣崎 拓也(JA愛知厚生連 海南病院 消化器内科), 石川 大介(JA愛知厚生連 海南病院 消化器内科), 國井 伸(JA愛知厚生連 海南病院 消化器内科), 渡辺 一正(JA愛知厚生連 海南病院 消化器内科), 浅尾 優(JA愛知厚生連 海南病院 血液内科), 後藤 啓介(JA愛知厚生連 海南病院 病理診断科), 奥村 明彦(JA愛知厚生連 海南病院 消化器内科)
抄録 【症例】66歳男性【既往歴】虫垂炎、大腸粘膜内癌(内視鏡的に切除)【現病歴】HBV既往感染を伴うアルコール性肝硬変として当科で経過観察中であったが、定期検査の採血でPIVKA-2の上昇を認め、腹部超音波検査、CT、EOB-MRIで肝S3とS5の肝細胞癌が疑われたため、当院外科にて2011年5月に肝部分切除術を施行した。病理組織像は、肝細胞には異形成がなく、小型リンパ球が密に集簇しながら浸潤しており、リンパ濾胞の形成も散見された。免疫組織化学的にはCD3陽性細胞がCD20陽性細胞よりもやや優勢に浸潤していることが確認され、硬変に発生した肝pseudolymphomaと診断された。その後も定期的にフォローアップを行っていたが、2013年5月、術後約2年2カ月目の定期受診の際に腹部膨満を訴えたため、腹部CTを実施したところ、腹水の出現とともに、傍大動脈をはじめ腹腔内の著明なリンパ節腫大を認め、胃壁の肥厚と肝左葉にも結節性病変が認められた。上部消化管内視鏡検査では、胃体部大弯壁の腫大および胃体下部前壁に一部潰瘍を伴った隆起性腫瘍を認め、同部の生検から、B細胞性悪性リンパ腫と診断された。また、同時期に施行された骨髄生検でも、B細胞性悪性リンパ腫の骨髄浸潤と診断された。確定診断後、当院血液内科にてR-CHOP療法が施行されており、現在2コースが終了しているが治療への反応は良好である。【考察】pseudolymphomaは疾患概念が確立しておらず、reactive lymphoid hyperplasiaや nodular lymphoid lesionといった名称でも報告されている。画像診断のみでの確定診断は難しく、術後の病理組織で診断にいたるものがほとんどである。肝に発生したpseudolymphomaの報告自体が極めて少なく、また、pseudolymphomaと悪性リンパ腫の関連性については不明であるが、胃のpseudolymphomaが悪性リンパ腫へと移行したという報告があり、本症例は両者の関連性を考える上で貴重な症例と考えられた。
索引用語 肝pseudolymphoma, B細胞性悪性リンパ腫