セッション情報 シンポジウム「炎症性腸疾患の診断と治療 up-to-date」

タイトル S-11:

当院における腸管ベーチェット病に対するadalimumabの使用経験

演者 坂巻 慶一(刈谷豊田総合病院 内科)
共同演者 浜島 英司(刈谷豊田総合病院 内科), 中江 康之(刈谷豊田総合病院 内科), 仲島 さより(刈谷豊田総合病院 内科), 松浦 倫三郎(刈谷豊田総合病院 内科), 小林 健一(刈谷豊田総合病院 内科), 澤田 つな騎(刈谷豊田総合病院 内科), 内田 元太(刈谷豊田総合病院 内科), 室井 航一(刈谷豊田総合病院 内科), 井本 正巳(刈谷豊田総合病院 内科), 鈴木 敏行(刈谷豊田総合病院 内科)
抄録 【背景】腸管型ベーチェット病は時にクローン病や単純性潰瘍などと鑑別困難であり,治療はアミノサリチル酸製剤や免疫抑制剤など炎症性腸疾患に準じるが定まっておらず難渋することも多い.多くの症例でステロイドが有効で,しばしばステロイド依存が問題となる.今回ヒト型抗TNFαモノクローナル抗体製剤であるadalimumabがH25年5月より腸管型ベーチェット病に対し保険認可され,ステロイドに代わるkey drugとして期待されるが,その効果や使用方法は臨床上不明な点もあり議論が必要である.【対象】当院でadalimumabを導入した腸管型ベーチェット病患者3症例を対象とし,報告する.【成績】症例1は60歳男性,1993年8月発症.口腔内アフタ,毛嚢炎,外陰部潰瘍あり.8年前に回盲部切除を行っているが術後も吻合部潰瘍を認め,下痢,腹痛ありメサラジン3g/日とアザチオプリン(以下AZA)50mg/日投与中.2013/7/1 adalimumab投与開始し2週間後には下痢が消失し,腹部の違和感も消失,4回目の投与時には鎮痛剤も不要となり症状の改善を認めた.症例2は65歳男性,2002年9月発症.口腔内アフタ,毛嚢炎,外陰部潰瘍あり.10年前に回盲部切除歴あり.プレドニゾロン(以下PSL)10mg/日,コルヒチン1mg/日,AZA100mg/日内服中だが,数回の下痢が続いておりPSL減量のため2013/8/9 adalimumab投与開始.特に症状の変化無くPSLを5mg/日へ減量としたが,下痢増悪あり再度10mg/日とし継続中である.症例3は34歳男性,2003年2月発症.診断時よりステロイド離脱が困難な依存症例であり,ステロイドを5mg/日まで減量するとしばしば回盲部の類円形潰瘍からの出血を繰り返し,下血を認めていた.2013/8/19よりadalimumab投与開始とともにPSL減量行い,現在投与4回目で開始時の7.5mgから3mgまで減量としたが,下血の再燃は無い.【結論】短期間の観察ではあるが,当院では3例中2例で症状の改善を認め,うち1例でステロイドの減量が可能であった.引き続きadalimumab投与を行い,今後の経過を追跡し報告する.
索引用語 腸管ベーチェット病, adalimumab